“The Economist”に電通のイージス買収を取り上げた記事があったので、ちょっと日本語にしてみた。要約すると
- いい判断だと思うが50億ドルとは、マジぶったまげたな、もう
- ただ、企業文化の違いを乗り越えるのは結構大変だよん
- そういえばシュワルツネッガーの「チチンブイブイ」の時は驚いたなあ(←なんで今さら)
ホント、拙い文なので参考までと言うことですが。
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本社ビルを覆うグレーのガラスのように、電通を外から窺い知ることは難しい。アジアでは最大の広告代理店で、2001年の売上総利益は3,300億(42億ドル)を超え、日本の伝統的広告の市場の約30%をおさえている。そして日本のメディアに対して過剰ともいえる影響を及ぼしていると、識者はこぼす。東京の高千穂大学の新津重幸は「日本の情報コントロールに、十二分なパワーを有していることを疑う余地はない」と言う。
しかしグローバルな舞台において、電通は端役に過ぎない。売り上げの84%を日本市場に依存して、その足元は縮小している。そこで、既にご存知の通り、7月12日に電通はロンドンを基盤にするイージズを傘下に収めた。そして、その価格には思わず瞠目したものだ。そう、シュワルツネッガーが日本のビタミンドリンクのCMにファンシーな服で登場した時と同じくらいの驚きといえる。電通は32億ポンド(50億ドル)を現金で支払う予定であるというが、それは当期純利益の19倍である。
このニュース以前にも、広告業界では6月にはWPPがデジタルマーケティングファームのAKQAを5.4億ドルで買収し、今月初めにはフランスのピュブリシスがロンドンのBBHを1億ユーロ(1.2億ドル)で傘下に収めるという動きがあった。しかし電通の欧州進出で、そうした動きもすっかりかすんでしまった。
いろいろな面から見て、この買収はよい選択だろう。イージスは電通の資金力と腕力の恩恵を受ける。一方で、電通はイージズのメディアプランニング/バイイング、とりわけデジタル分野における高い専門能力から利益を得るだろう。日本メディア界の王(top trumpeter)はついに悲願の欧米進出を果たし、日本での利益は58%程になる見込みだ。イージスの役員会はこの件を承認し、最大株主であるバンサン・ボロレはしてやったり。さて、これから何の問題があるのだろう?
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新刊のお話、その2。
昨週末、新潮新書から「電通とリクルート」が発売された。またネコに持たせてみた。少しは売り子らしくなってくれただろうか。
中身は、2社の戦後史を追いかけ直して私たちの消費生活の「今までとこれから」を考えてみる、というものである。2社のビジネスを分析したり、ましてや内幕を書いてみようという本ではない。
ある意味、メディアや広告業界の外で生活してきた人が「ああ、情報ってこうやって影響を与えていたのか」ということを考えてみてもらえれば、という気持ちで書いた。一方で、「広告ビジネスはこれからどうなるのか」ということについて書いたわけでもない。業界の話ではなく、とある国の人々の30年程の航跡をたどった本だからである。
いわゆる「広告」というものを「発散志向」と「収束志向」という観点で整理をして、それが社会の中でどのような役割を果たして。今後どうなるのだろうか?という視点で考えた。あまり詳しくここで書いても仕方がないのだけれど章タイトルは
「元栓のうまみ、毛細管の凄み」「情報誌を欲したのは誰か」「『感動をありがとう』の正体」といった感じで、とりあえずamazonのリンクはこちら。
なお、この本にはささやかな仕掛けがあって、それは最後の5行でわかるようになっている。できれば後ろから開かないでいただきたい。
前期、つまり2010年3月期の総合広告代理店の決算が、空前の厳しさだったことは今さらでもないだろう。既に、かなり前からのそのような予測になっていた。
しかし、ここへ来て電通が決算を上方修正した。こ想像以上に出稿が戻っているということらしいが、そのあたりをちょっと見てみよう。参照している数字は、電通と博報堂の12月からの単月売り上げ推移の対前年比(両社とも単体)である。
この数字、消費市場の動向を見る上では結構面白いので、別に広告関係以外の人でも使えるところがある。4つのグラフは左上から、両社の総計、テレビ、マーケティング・プロモーション、そしてインタラクティブ(インターネット)である。一部表記は異なるが、この項目で比較してみよう。
結論から言うと、大逆風の悪天のマラソンだったこの1年、最後の35キロ辺りから電通が歯を食いしばって抜け出している風景が見えてくる。
まずトータルだが1月まで両社とも対前年比割れだったが、2月に久しぶりに電通が100%を超えている。そして3月は前年並み。博報堂はほぼ90%弱で推移。
最大の種目であるテレビは両社とも、不透明な感じで動いている。そして、テレビに次ぐ種目である「マーケティング・プロモーション」。ここで大きな動きがあった。この4ヶ月、電通は回復基調に乗っているのに対して、博報堂は80%を切るくらいの推移である。
実はこの種目の業績への売り上げへのインパクトは大きい。
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