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先日、このブログ618iVdWIshLで橘玲の『「読まなくてもいい本」の読書案内』という書籍を紹介した。

「複雑系」「進化論」など5つの分野の読むべき本と、その研究の経緯を紹介した一冊だ。つかみとしてはいいんじゃないか、と思って紹介したのだが、その一方であまりにもザックリとしていることが後になって気になった。

それで、ふと思い立って『「知の技法」入門』を紐解いてみると、改めておもしろい。

一昨年秋の出版だが、東京大学教授(発刊当時)の小林康夫と、社会学者の大澤真幸の対談で、現代思想の潮流を俯瞰しつつ、考えること・学ぶことについての思索が収録されている。

言及されている本そのものは、先の橘氏の著作と被るところもある。ただし、それだけのことで、この2冊を比較することに違和感を感じる人もいるだろう。

しかし、橘氏の本と両方を読むことによって、いまの日本で「学ぶ」ということの難しさと面白さがわかるのではないだろうか。

ただ、このタイトルは少々誤解を招くかもしれない。『知の技法』という本は、東京大学教養学部の「基礎演習」テキストとして、1994年に刊行された。小林氏と船曳健夫氏が編者となって、大学1年生が対象である。

このシリーズはその後も続いたので、それらの本を読むための包括的入門書のように見えるが、そういうわけではない。あくまでも二人の対論で、「人文学のあり方」が通底した主題となっている。読書対象として想定しているのは大学生のようだが、むしろある程度の知識があった方がいいようにも感じる。 >> 【本の話】人文学を巡る気鋭の対談。『「知の技法」入門』の続きを読む