【本の話】リチャード・E・ニスベット著 村本由紀子(訳)『木を見る西洋人 森を見る東洋人』 ダイヤモンド社
この図を見ていただきたい。この3つの対象物のうち、下にあるものはAとBどちらの仲間だと思うだろうか?つまり3つの対象物のうち2つを一緒にするなら、どれとどれをまとめるだろうか?
これは本書の中で紹介される実験の1つである。そして、その結果は西洋人と東洋人で異なる結果を示すというのだ。
西洋人は、「牛と鶏」を1つにする。一方で東洋人は「牛と草」をまとめようとする。「動物」という分類上の観点で見るのが西洋人だが、東洋人は「牛は草を食べる」と考えるというのだ。
こうした事例を紹介しつつ、西洋人は「名詞で世界を捉える」のに対して、東洋人は「動詞で世界を捉える」というのだ。他にも似たような事例が紹介される。
本書は、西洋人と東洋人の心や思考のあり方を比較検討した本だ。こうした比較はよく行われている。タイトルにあるような世界観にしても、西洋医学と漢方の違いのようにして何となく認識しているのではないだろうか。また、スターウォーズにしても東洋的な神秘性を取り入れることで、独特の世界観を築いている。
本書では、古代ギリシャと中国の比較などから始まり、それぞれの自己のあり方の差異についても論じる。この辺りまでは一頃の日本人論、などにも近いものがあり少々既視感があるかもしれない。 >> 【本の話】木を見る西洋人 森を見る東洋人の続きを読む