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614QuQeJLDL【読んだ本】立花隆 『武満徹・音楽創造への旅』 (文藝春秋)

武満徹が亡くなって20年になる。

仮に生きていれば、いま85歳ということだが、同年代の黛敏郎、5歳ほど上の芥川也寸志、團伊玖磨ら「三人の会」のメンバーも鬼籍に入った。團を除くと、60代半ばで逝っている。盟友の小澤征爾が80歳で闘病を経てタクトを握っているが、「戦後楽壇」のうねりは大きな潮目を迎えている。

「武満徹・音楽創造の旅」は、立花隆が武満に対しておこなった長時間のインタビューをもとに、その創造の歴史を追っていくドキュメンタリーだ。核になるのはインタビューだが、もちろんそれだけではない。関連する文書を探り、関係者の証言などを交えて再構成される。

それは、武満徹の創造性を訪ねるだけではなく、日本の戦後文化をもう一度再確認する旅でもある。だから武満という人物の評伝であるとともに、「文化史」の文献としてもとても貴重なものだ。

ただし、この本はまた異様な存在感を放つ一冊でもある。800頁に近い大作であるというだけでなく、武満と立花の思い入れのようなものが凝縮されている。そして、暗い伏流が、影のように通底しているように感じる。

それは、この本が成り立った過程にあるのかもしれない。 >> 渾身の日本戦後文化史『武満徹・音楽創造への旅』の続きを読む



41EjxS4V4xL3日にわたる世界史本あれこれだが、まとめの話と、少し昔の本について。

いろいろとあげてきたが、この15年ほどの「世界史本」は、ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』のインパクトが起点になっていると思う。

そして、いろいろあげた中で「どれから読むか?」という話になる。これだけの量のモノを片っ端から読むくらいなら、もう少しバランスよく、いろんな本を読んだ方がいいだろうし、ハードカーバーで高価な本も多い。

そうなると、既に文庫本になっていて、ある程度とっつきやすいモノから行くというのもありだろう。

つまり『銃・病原菌・鉄』『繁栄』『「豊かさ」の誕生』あたりだろうか。『国家はなぜ衰退するのか』もいいのだが、訳がこなれていないこともあって、いきなりはきついかもしれない。

また、図書館で借りてようすを伺ってから、順に取り組むのもありだろう。ただし、忙しい人にとって、借り出し期間中の読了は難しいだろうし、読むなら購入して鉛筆なりポストイットなり、自分のやり方で読み込むことをすすめたい。

また、歴史の本はすべての事象を網羅的に扱えるわけではないし、それぞれの著者の知識にも限界がある。したがって、どんな大作にもケチをつけるのは簡単だ。

「○○についての記述が足りない」「××についての考察が浅い」などというレビューを書くことは、実は誰にもできるのだ。今回は一冊ごとに詳細な紹介をしてないので、ネットのレビューなどを見ることもあるだろうが、その辺りを踏まえた上で取り組むといいと思う。

また、今回紹介した本は、すべて英米系の研究者によるものだ。ここまでガッチリと腰の据えた研究は日本では難しいのかもしれない。

ただし、日本人が「歴史の仕組み」に取り組んだユニークな本も当然ある。まずは、この辺りを読んでから、いろいろと広げていくのもいいだろう。 >> もうちょっと、世界史の本について。の続きを読む