立春を過ぎたが、旧暦の新年は明日だ。。つまり北朝鮮は、中国にとっての大晦日にロケット花火をぶっ放したわけで、そう考えると相当のあてつけのようにも思える。
ちなみに今年のような場合は「年内立春」というのだが、それが特段珍しいわけではない。年の初め、つまり旧暦睦月は月の満ち欠けで決まる。明日は新月だ。一方で二十四節季は1年を24に分けるので太陽の動きによっている。立春の次は19日が「雨水」となる。雪が雨に変わり、氷が水になる頃合いという意味だ。
音楽の世界でも季節を描いたものは多いが、春はどこか浮かれている。冬だとシューベルトの「冬の旅」が圧倒的に存在感があるが、あれを寒い時に聴くとそれだけで凍えてしまうので、夏の夕暮れくらいがちょうどいいように思う。
というわけで、今日は春の音楽について。
ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番は「春」というタイトルだ。初めてこのメロディを聴かせた人に「ある季節のタイトルがついてます」とクイズを出したら、まずほとんどの人は「春」と答えるのではないだろうか。
この曲の冒頭の流れるようなメロディは、「春の小川」の風景をどこか連想させる。雪解け水が流れる穏やかな風景だろう。
あまりしっかりと弾き込んだ演奏よりも、名人がサラリと奏でたディスクの方がいい。能天気といわれるくらいの頃合いで、ひたすら美しいパールマンや、自在なフランチェスカッティなどが気持ちいい。後者の場合、自在なのはピアノのカザドシュではないかという気もするが。
シューマンの交響曲第1番も「春」だ。ただし、これは季節の春が来たというよりも、自分の中に春が来たような音楽だ。シューマンは相当に精神が不安定だったというけれど、まあ何か浮かれていたのだろう。 >> 【音の話】立春なので、春の曲三題。の続きを読む