学生が新聞などを「読む必要がない」と考える場合の大きな理由は「マスメディアは真実を伝えているのか」という立場からの発想だ。ネットが広がってから、当然この傾向は強い。ただし、ネット言論の発達がマスメディアへのチェック機能を果たせば、長期的には修正されると思っている。
ただ、僕が「新聞を読んだ方がいいよ」とハッキリ言いにくい理由は別にあって、単純に言うとカネの問題なのだ。実家から通っているならともかく、一人暮らしで月に4000円あまりの金額というのは、学生が自分で払うには結構きつい。仕送り額は、ずっと減少傾向にある。
もっとも、この金額を高いと思うか妥当だと思うかは人それぞれだろう。ただ、学生に限らず新聞代というのはいわゆる「家計リストラ」では真っ先に上がるくらいだ。実際に家計簿を管理すれば、まず固定費に手をつけるわけで、実は新聞の購読者減少の大きな理由はここにあるんじゃないかと思っている。
そもそも、新聞や雑誌、書籍はずっと価格が上がり続けている。新聞だと平成元年が3000円くらいだから、かなりの上昇率だ。それなのに「より安い代替手段」が少ない。この時点で、「読むかやめるか」の二択になってしまう。
あらゆる商品でデフレが続いたので「割高感」は、当然強い。
>> 「電子版・精選記事・学割¥2000」の新聞ってないのかな。の続きを読む
このブログのタイトルに対して「もちろん」という人はどんどん少数派になっていると思う。僕も「読むべき」とは言い切ってない。じゃあネットのニュースで足りるのか、というとどうも足りてないように思える。
もっとも新聞離れというのは今に始まったことではなくて、いまの50代の行為者率も5割を切っている。(こちらのページが参考になる)「新聞がなくても事足りる」というのは、僕の同年代にも結構いた。ただしテレビ欄がないのが不便なので、その代わり職場で生保が配っていた「ザ・テレビジョン」を重宝していたりしたのだ。
いまやネットが中心になってこの傾向はますます加速してる。
それによって、情報がどんどん偏っているんじゃないか?というのは他の先生とも近年のテーマになっている。就活が始まった頃に、この情報バランスの悪さが「世間知らず」な空気感に直結するのである。これだけで就活が不利になるのは、何とももったいない。
で、今年の前期の講義でこんなテーマのレポートを課した。
「ネットのニュースだけでいいのか」「新聞・雑誌などを読んだ方がいいか」というテーマで、どちらか自分の考えに近い方を選んで立論をさせたのだ。
結論から言うと、8割が後者を選ぶ。大学生も、「ネットだけではやばいだろう」とは感じているのだ。
そのもっとも大きな理由は、「好きな情報ばかりに接するから」というのが、もっとも多い。これは、僕たちの問題意識と同じだ。最近では永江一石さんが、こちらのブログにも書いている。つまり「情報偏食」とでもいうべき問題だと思っていて、的確な指摘だと思う。
偏食が体に良くないことはわかっている。ただし、偏食にはある程度の心地よさがある。また、学生に影響力のある若い経営者などが「新聞(マスメディア)不要論」を唱えると、「そっかネットだけでいいんだ」と思ったりする学生もたまにいるようだ。
テレビの件は、一回休み。というのも、昨日の朝刊各紙の発表した内閣支持率でどうしても気になることがあったからだ。
全般に「高め」というニュースだが、何と53%から67%まで思い切りばらついている。こういう数字が出ると、巷では特にネット上では懐疑的なコメントが溢れてくる。所詮こうした数字はねつ造であるという内容だ。
陰謀史観というのはいつの時代にもあるし、マスメディアへの疑念が出てくる土壌はあると思うのだけど、今回の数字はリサーチ上の観点から見てもかなり興味深い。
というのも支持率というのは基本的に「二択」である。いくつも選択肢があるような調査ではないので、今回のように1000前後のサンプルならそんなにブレないと思う。それなのに、朝日・毎日というどちらかと言えば論調が似ている二紙が申し合わせたような数字なので、突っ込まれてしまう隙はあるわけだ。
僕はこういう数字をねつ造とは思わないが、今回の数字はちょっと突っ込まれる隙はたしかにあると思う。まずは表を見ていただきたい。