気になるCMを見た。
「フラット35」のCMだ。誕生日に帰って来るお父さんを、妻と娘が待っていて、一緒にケーキを食べる、という書いてしまうとどこも気にならないようなCMなんだけど、コピーが、気になる。
「家を持ってから、私たちはもっと家族になった」
そういう感覚になる人がいるのだろう、ということは理解できる。でも、家を持てなければ、「これ以上家族になれないんですか」というツッコミをしたくなってしまった。これ、「差別化」を通り越して、単に「差別的」なコピーなんじゃないか。よく通した、というかそういうのをクライアントが望んだんだろうな。
広告主は住宅金融支援機構で、昔の住宅金融公庫。つまり公的機関だ。そんなにまでして、持ち家に誘導したいんだろうかと、勘繰りたくなる。
ちなみに、昭和の時代には「自民党の持ち家政策は自党支持を増やすため」という歳背伝説があった。
つまり左翼政党の支持者も自分の不動産を持てば保守的になるから、という話である。たしかに、一時期は社共が政権を獲れば土地が国有化されると思っていた人もいたのだ。
まあ、それはともかく、持ち家か賃貸かっていうのは人の自由でしょ。最近の土地白書でも持ち家志向が低下している、っていうデータが出たばっかりで、そういうタイミングで、あのようなCMを流すというのも不思議な感覚ではある。何なんだろうか、この違和感は。
ちょっと前に話題になった「女性手帳」ではないが、「お上の余計なお世話」感が滲み出ている。カネ使って広告してまで価値観の誘導するくらいだったら、もう少し賃貸の家賃が低下するような、つまり住まいの選択肢を増やせるような政策を考えた方がいいと思うんだけれどね。
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