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まだ報道の段階ではあるけれど、天皇が退位の意向を示されたという。手続き的には皇室典範の改正になるが、いわゆる「譲位」についての規定を決めるのは相当難しいかもしれない。
明治以降は譲位を想定していないのだが、それは政治的な恣意性を避けるためと言われている。
江戸時代は、徳川幕府と朝廷の間にさまざまな駆け引きがあった。幕府の意向、つまり時の実質的政治権力が天皇の即位に影響を及ぼすこともあったわけだ。
そんな古い話を、と思われるかもしれないが現在の典範の規定は歴史的な教訓を含んでいると考えていいのだろう。
江戸時代の朝幕関係で、もっともドラマチックなケースは、後水尾天皇を巡る話だろう。徳川家は二代将軍秀忠の末娘和子を入内させて、天皇家の外戚となることを目論む。
ところが朝廷への監視を強める幕府との間にトラブルが絶えず、婚儀の9年後に後水尾天皇は退位する。この辺り「紫衣事件」などが特に有名だ。
その後9代の天皇の退位理由を見ると、7人が譲位でしかも20代から30代の間におこなわれており、即位した天皇は20歳以下だ。このような運用が実際におこなわれていたことになる。 >> 天皇、徳川家、光琳、そして金銀の行方など。の続きを読む