就活が始まる頃になると学生から決まって聞かれることがある。
「どうして、広告業界を志望したんですか?」
「自己PRとか志望理由はどんなふうに書いたんですか?」
聞きたくなる気持ちはよく分かるのだけれど、うまく答えてこなかった。半分はホントに忘れているのだが、もう半分は何となく照れくさいのでちゃんと思い出そうとしなかったのだ。だって、何か恥ずかしいじゃない。もはや四半世紀前のことなのに。
ただ、あまりにも聞かれたり、今年は学生相手に少人数クラスを持っていろいろ相談も受けたので真剣に真剣に考えたら、最終面接のことを思い起こした。
就活時に僕の話の構成は二本柱があった。一つは高校から続けていたオーケストラの話で、これは「チームプレイ」への話へつなげる。もう一つは大学の研究室の話で、選挙分析で統計などもいじっていたのでこれを「マーケティング」につなげる。あとは、自分の「人となり」として、まあ読書好きだったりしたことを話してきた。
ところが最終面接で、このパターンで行き詰ってしまった。
明らかに面接の雰囲気が滞って、前にいる面接官(おそらく役員クラス)がつまらなそうにし始めたのである。
(しまった……)
と思った時に、一人が尋ねてきた。
前期、つまり2010年3月期の総合広告代理店の決算が、空前の厳しさだったことは今さらでもないだろう。既に、かなり前からのそのような予測になっていた。
しかし、ここへ来て電通が決算を上方修正した。こ想像以上に出稿が戻っているということらしいが、そのあたりをちょっと見てみよう。参照している数字は、電通と博報堂の12月からの単月売り上げ推移の対前年比(両社とも単体)である。
この数字、消費市場の動向を見る上では結構面白いので、別に広告関係以外の人でも使えるところがある。4つのグラフは左上から、両社の総計、テレビ、マーケティング・プロモーション、そしてインタラクティブ(インターネット)である。一部表記は異なるが、この項目で比較してみよう。
結論から言うと、大逆風の悪天のマラソンだったこの1年、最後の35キロ辺りから電通が歯を食いしばって抜け出している風景が見えてくる。
まずトータルだが1月まで両社とも対前年比割れだったが、2月に久しぶりに電通が100%を超えている。そして3月は前年並み。博報堂はほぼ90%弱で推移。
最大の種目であるテレビは両社とも、不透明な感じで動いている。そして、テレビに次ぐ種目である「マーケティング・プロモーション」。ここで大きな動きがあった。この4ヶ月、電通は回復基調に乗っているのに対して、博報堂は80%を切るくらいの推移である。
実はこの種目の業績への売り上げへのインパクトは大きい。
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