先般、知人がコンビニで久々に女性誌を手にしたら「驚くほどズッシリ重かった」と言っていた。金融危機の後、雑誌広告が急減して「軽い雑誌」が増えていたことはたしかだけど、その後の「アベノミクス効果なのかな?」と言ったのが、おもしろかった。
こういう話を、最近よく聞く。飲食店が混んでいても、タクシーがつかまらなくても「アベノミクス?」と思うようだ。
ただし、この「アベノミクス」はコンセプトが提示されただけで、まだ何もおこなわれていない。
いわゆる「プライミング効果」のような一面があるように思う。
プライミング効果、というのは心理学の実験などで実証されている。あらかじめ、特定の先行刺激を与えると、それが「呼び水」となり、あとから受けた情報と関連付けてしまうというものである。
テキストにも取り上げられているものに「ピザと10回言って」という遊びがある。「ピザピザピザ…」と10回言ってもらったあとに「ここは?」と肘を指すと、多くの人が「膝」と答えてしまうものだ。「ミリン」とか「シャンデリア」とか「平山」とか、バリエーションがあったと思う。
アベノミクス、というのもよく分からないままに言葉だけが先行した。ただし、円高修正や、株高になったので多くの人は「アベノミクス」と関連付ける。先の話で言えば、女性の広告出稿は昨年から回復していたらしいので、あまり関係はないだろう。
でも、人々はわかりやすい文脈をつくってしまう。
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