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近所にある肉屋が、潔い。肉屋が潔いというのも変な話だけど、最近の食品偽装問題を聞いてると、そう感じる。
この店で牛肉を買おうとすると、どうなるか。
安い順に「牛上肉\470」「牛最上肉\520」で、次が何と「牛肉\630」なのだ。\730の牛モモ肉、牛肩ロースと続いて「特選牛肉\840」となっていく。
「牛肉」が「最上肉」より安いのも謎だけれど、産地など一切書かれていない。というわけで、その時の懐具合や料理に応じて相談しながら何となく決める。
牛は牛、豚は豚、鶏は鶏。
昔は、と言っても20年くらい前はこれが普通だった。基本的には「牛肉」という「普通名詞」の食品を食べていたのである。その頃、固有名詞を持っていたのは、神戸、松坂、近江くらいだった。
魚もそうだ。「関鯵」「関鯖」あたりから、固有名詞化してきたと思う。
「固有名詞化」というのは、「ブランド化」に他ならない。ブランド論というと、いろいろややこしいことを言う人もいるが、結局は「固有名詞」を認知してもらえないと、価値構造も何もあったものではない。
会社員時代に「ブランド本」というムックを編集したのが15年前で、その後ブランドコンサルティングの立ち上げにも関わった。ブランド論議は大体わかっているつもりだが、この間に起きたことは、「固有名詞の認知競争」があらゆる領域に広がったということだ。