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雪こそ降らなかったけれども、今日の東京の空はどんよりとしている。
関東平野の冬は、ちょっとくらい寒くてもよく晴れることだけが取り柄だ。そういう街で育ってきたので、こうも雲が重いのは苦手である。
しかし、欧州の冬はそんなものではない。もちろん、日本でも地方によっては冬に晴れ間の少ない地域はある。しかし、緯度の高い欧州は、寒さと暗さに加えて日が短い。
だから、というだけではなないのだろうが、冬に聴きたくなる音楽は多いように感じる。
というわけで、今日は冬のピアノ曲。グールドがロマン派以降の作品を弾いたアルバムから何点かを引っ張り出してみた。
グールドというと、バッハの一連の演奏を思い浮かべることも多い。僕も仕事の時、とりわけ長文を書くときによく聞いている。バッハの演奏では明晰なイメージが強いけれども、ロマン派以降の作曲家だと、もう少し独特の“揺らぎ”や“ためらい”のようなものがある。ただ、それを「ロマンチック」と言ってわかった気になるのも、どこか違う。寂しさと温かさが、普通に同居している。そんな人間の日常が感じられるのだ。 >> 冬に聴くグールド~ブラームス、シベリウス、そしてリヒャルト・シュトラウスの続きを読む