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(2010年7月20日)

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『あの頃の噺』~市馬・昇太・談春 前座噺の会~
7月14日 スペースゼロ(東京・新宿)

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この3人の都内の独演会は、それぞれチケットを取るのがかなり難儀な人気者なので、一堂に会したこういう会は、さらに難儀になってしまう。今回は妻の知り合いが行けなくなって、直前に譲ってもらえた。
談春の「真田小僧」市馬の「たらちね」に昇太の「雑俳」と続いて3人のトーク。休憩を挟んで昇太の「狸札」に続いて談春が「狸鯉」、そして市馬の「牛ほめ」。
前座噺を、旬の落語家が競演するという企画はなかなかに贅沢なものである。
喩えていえば、いやマッタク違うかもしれないけれど、一流のアーチストがいわゆる「ビギナー向けの名曲」を演奏したディスクにも似ているかもしれない。
カラヤン=ベルリンフィルの「フィンランディア」とか、ホロヴィッツの「トルコ行進曲」って、過剰な贅沢感があって好きなんだけど、結構近い気もした。
ところが、トークでなるほどと思ったんだけれど、前座噺は決して「よくできた噺」とも限らない。つまり、フツーにやると十分つまらなくなる。これは、落語のすごいところなのかもしれない。
西洋音楽のビギナー向けの曲は「ビギナーがやってもさまになる」ようにできているんだけれど、落語はそうとは限らない。
そうか。前座の噺家がつまらなく感じるのは、そうした試練があるからなのかと改めておもった。今回聞いた噺も、「談春だから」「昇太だから」という「プラスのハンディ」を感じる面もある。そういう意味でいくと、市馬の落語はそのままに面白かった。
そういことが何となくわかるのも、また前座噺のおそろしいところでもある。