「人づくり革命」が不評らしい。
日本人の中には「ものづくり」ということをありがたがる人は多いけど、だからこそ「人づくり」って何なのか。
しかも、そこに「革命」がつく。じゃあ、英語ではどうなるのか。やっぱりrevolutionとか言うのか。いや、それで大丈夫か。
といろいろ思って、首相官邸のウェブサイトを見た。英語版にして、Toshimitsu MOTEGIを探すとこう書いてある。
Minister for Human Resources Development
なんだ、これ。HRDか。「人的資源開発担当」って、まあ「人材開発担当」だ。なんか、コーポレート部門役員の管掌の話みたいじゃないか。
なんか、拍子抜けだ。じゃあ、なんで「ひとづくり革命」とかにしたのか。もう、それはセンスなんだろう。
ちなみに「一億総活躍」は、英語ではどうか?
Minister for Promoting Dynamic Engagement of All Citizens
おお、Dynamic Engagement!なんかすごいけど、立派過ぎて今度は日本語にしにくい。調べてみたら、記事にもなっていた。
『これを日本語に直訳すれば「全ての国民の精力的な参画の促進を担当する閣僚」になる。外国人には日本の人口規模が伝わりにくいため、英語表記では「一億人」を省いた。』
そりゃ、そうだろうな。この英語を決めるための会議とか、そのままコントになるんじゃないか。とりあえず、案の中にはhundred millionとか入っていて、それにactivityをくっつけようとすると、「それはちょっとなぁ」と上司が首を捻る。
やがてengagementとか探してくる人がいたんだろうか。ただengagementってどう捉えられるのか。それはそれで、気になる。
「地方創生」「一億総活躍」と来て。「人づくり革命」という“目玉政策”だが、筋としては正しいと思っている。人口減少の未来では、一人ひとりの「価値」が大切になっていく。
それは、わかる。
ただし、何とも伝わってこない。わかりやすくしようとしたのか、インパクトを重視したいのか。
ちなみに、英語表記のdevelopmentを日本語にするとどうなるか?career developmentなどは「キャリア開発」を連想することが多いと思うが、「キャリア発達」という訳語を当てる人もいる。
組織から見れば「開発」でも、人から見れば「発達」というわけだ。このあたり訳語一つとっても、「人材」というのはいろいろ興味深い世界なんだけど、相手は「人」だ。
で、developmentは、どう訳しても「革命」じゃないよな。
金曜日の昼頃、とある店でランチを待っていると近所の会社員のグループが入ってきた。
その少し前にニュースで伝えられた、とある人の訃報が話題だった。長く闘病生活を続けていたこともあり、話題になること自体は普通の流れなのだろう。
比較的大きな声で話しているのか、その声が聞こえてきた。
若くして亡くなったその方、あるいは残された家族への「お悔み」のような会話もそこそこに、年配の男性が自らの家族の経験について話し始めた。送ってから時間が経つのか、屈託なくその頃のことを語っている。「転移」とか「結局は」とかそんな言葉が耳に入る。
程なくして、一緒にいた人もいろいろと話していた。
人の訃報を語る、というのは結構難儀なものだなと思った。
どうやら、彼らの身近な人の中で、いま現在患っている人はいないようだ。しかし、もしその周辺にそうした人がいたらどう感じるのだろうか。やはり、病にまつわる話はもう少しひっそりと話した方がいいのかもしれない。
実は、そういう思いをしたことがある。数年前、父が他界してようやく落ち着いた頃のことだ。とある店で食事をしたのだが、隣に医療関係の仕事をしている女性ばかりのグループがいた。
>> 人の訃報を、語るということ。の続きを読む
「食べログレビュアー」という人がいるようで、そういう人のプチ・スキャンダルが話題になっていた。どんな領域でも、頑張ればそれなりの評価を得られて、チヤホヤされて、きっちりと落とし穴がある。素晴らしい自由主義!
どこか、気になる店があって情報を知りたくて検索するとたいてい「食べログ」が上位に出てくるが、できるだけクリックしない。あのサイトのレビューの文章を読みたくないからだ。
そこには、「できれば文化人になりたい」ような人のこじれた承認欲求が漂って、どこか物欲しげだ。いや、「物が欲しい」というより、「認めて欲しい」ということかと思っていたんだけど、まさか本当にモノをもらっていたそうだから、なにか哀しい。
以前も書いたけど、どうもあのようなレビューの文章には哀愁が漂っている。
そもそも、「食の批評」のカテゴリーは成り立つのか。アートや音楽、あるいは文学のようなものと、「食」は異なる。そもそも、食がなくては生きて行けず、あるいはその糧を手に入れることができない人は、世界にたくさんいる。
そういう中で、食を評することにはちょっとした後ろめたさがあってもいいのではないか。だから、多くの作家が食について書いても、彼らはそれを日記のような体裁にする。食のみをああだこうだと書くことは、どうしてもさもしくなるからだろう。 >> 食べログと「味覚成金」。の続きを読む
政治家の失言はいろいろあるけど、それ揚げ足取りだろと思うものも多くてあまり気にはしてないし、書かない。でも、昨日の大西英男議員の「働かなくていい」は、相当ひどいと思った。というのも、その後の弁明が全く弁明になってない。
これ、もっと突っ込んでもいいと思う。
彼は、自分のウェブサイトでもこう書いてる。(このサイトも相当味わい深いが)
今回の発言は、飲食店における従業員の方の受動喫煙の議論をするなかで、「(喫煙可能の店で無理して)働かなくていいのではないか」との趣旨で発言をいたしました。
そして、これはがん患者に対してのことではない、と言っている。しかし、問題はそこじゃないと思う。疾病を抱えているかどうかにかかわらず、「喫煙可能な店くらいしか働く場所がない」人はどうするのか?という視点が全く欠けているんじゃないか。
まだ詳細は決まってないようだけど、自民党は小規模飲食店の喫煙を認めようとしている。その一方で、何らかの働き口を探していたら「そういう喫煙可能な店しかない」という状況の人のことを無視してないかな。 >> 大西発言は喫煙派のオウンゴール?の続きを読む
それは、暮れも押し詰まった12月27日。その日は、友人たちと中山競馬場にいた。
有馬記念の一番人気はトウカイテイオーで、いま調べると2.4倍だ。そして、ライスシャワーの4.9倍と続いていた。
競馬場は大混雑。たしか13万という入場者数アナウンスだと思ったが、府中にはそれ以上の客がいたという。そんなこともあったんだ。
もうなんだか大興奮の中で出走して、メジロパーマーが端を切る。それは大方の予想通りだったが、4コーナーを回ってまだ一番手。この辺りからなんだか異様な雰囲気が漂う。
これが現在のキタサンブラックであれば大歓声だが、そうはいかない。何と言っても15番人気で単勝49倍の馬が「やばいこと」を成し遂げそうな状態なのだ。
そして、メジロパーマーは逃げ切った。そして相当の末脚で追い込んだレガシーワルドががハナ差で2着。
歓声ではなく、行き場のないどよめき。トウカイテイオーはまさに「馬群に沈む」11着だ。そのうち、観客席の背後から若い男性の悲鳴が聞こえた。
「こんなの嫌だ~」 >> 「こんなの嫌だ」デモは、何かを生むのか。の続きを読む