僕はレストランで写真を撮ることはしない。特に考えあってのことではなく、出てきたものはすぐに食べたい、というだけの話だ。もっとも旅先で写真を撮ることも少ないし、とっても整理しないので写真自体に興味がないんだと思う。

レストランについての写真撮影は意見が分かれる。最近、ある有名レストランのシェフが「禁止する店があるなんて」と言ったことで、それがまた議論になっているのを見た。

僕は「ご遠慮ください」という店があれば止めればいいと思う。しかし、それが気に入らない人も多いようだ。

そういう声を見ていると「写真をSNSに載せてコメントをもらうことが最高に嬉しいのに」というようなものが結構ある。そういう人にとって、もう、レストランは食事をするところではなく、何らかの社会的承認を得るための場ということなのだろう。

メディアの変化は、人間の欲求を変形させるものなんだなあ、と。

ただ一方で、「迷惑かけなければいいし、店側に権利はない」というような理屈をこねる人もいるようだ。

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昨日から大学の講義が始まった。

「現実」に即したマーケティングの話をするよ、というガイダンスをして、とりあえず消費増税と消費行動の話をした。

で、黒板に「逆進性」という文字を書いて聞いてみた。

「この言葉、聞いたことある人?」

100人足らずで見事に、ゼロ。とりあえず説明して、これが政策的には低所得者の負担増対策の議論になるし、マーケティングでは階層化対応の施策が必須だよねとか、ザックリ話しをした。説明すればすぐわかる。

「逆進性」を全然知らない、というと周囲には驚く人も多い。ただ、僕はそんなもんだろうと思った。学生が無知、というより普通の社会人でも知らない人が多いことを経験的に感じていたからだ。マーケティングなど、消費の前線にいる人でも結構知らない。

僕は大学三年の時に知ったけど、それはロールズの社会正義論とかをゼミで学んだからで、消費税もない時代には専門用語だったはずだ。

じゃあ、逆進性ってどのくらい一般的な「常識」なのか。そういうのって新聞とか読まないからか?と思って調べてみた。つまり「逆進性」で記事検索をかけてみたのだ。

どれくらいあると思います? >> 消費税の「逆進性」って常識?の続きを読む



(2014年4月2日)

カテゴリ:世の中いろいろ

表彰されることはないだろうが、「STAP細胞」は今年の新語としては相当パワーがあった。昨日の理研の会見で「一見落着」かと思ったら、小保方氏の「異議」などもあって、多くの人にとっては「よく分からない上に、どうでもいいこと」になっている気もする。

そもそも、このニュースは日本における「理系と文系の谷」を明らかにしてきたなと感じている。テレビというのは「文系視点」の極で“割烹着”などでヒロイン仕立てに熱心だった。一方で、ネットではこうした報道に懐疑的な意見も多く、ソーシャル調査という「理系視点」で議論がされていた。

そうした中での「疑義」が今回の記者会見につながってきたのだけれど、「STAP細胞があるのか」という肝心の点については「1年かけて検証」ということになった。つまり、相当の時間がかかる。これは科学の視点ではもっとも重要なことのはずなんだけれど、小保方氏の異議で、世間の関心はきわめて世俗的な方向に走ると思う。

この小保方氏の異議は「悪意の有無」が処分内容に直結するからこそ、出されたものだと思う。ただこれによってもはや、科学的に動向という段階ではなく、「わざとじゃいなもん、許してよ」的な情状酌量話をどう決着つけるかという法科・文系な話になってしまった。

ところが「人事上の懲戒」というのは文系の中でも、きわめて文系的というか訓告と戒告をどうするか、とか免職は厳しいかどうか、とかそもそもが曖昧だ。だからこそ、飲酒で懲戒を受けた公務員の裁判が後を絶たない。

でも、メディアの多数は盛り上がるだろう。そもそも、「文系メディア」はそういう話が好きだし、また多くの受け手も同様だからだ。

「小保方氏独占手記」は、みんな狙うだろう。そして、この「異議」によって、STAP細胞の真実よりも、よりわかりやすい下世話な話に流れていくんだろうか。もう、なんというか文系プロレスの場外乱闘になりそうな気がする。

だとしたら、相当残念な気もしている。

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そりゃ、やっぱりという感じもあるけれど、大学生の読書時間に関するニュースが話題になっている。

毎年やっている大学生協の調査なのだが、今年は「読書時間ゼロ」が初めて4割を超えたということが、「ついに」という感じではある。ただ、概要報告のページを見ていただければわかるのだが、この10年の傾向だと、「男子の平均読書時間は28分~35分の間を上下しているが、女子は04年の31.6分から13年の24.3分にまで緩やかに減少が続いている」

(太字引用)ということらしい。

こういう調査では「ゼロ」と答える人が多くなると、全体の数字がググッと減る。もしかすると「読んでる人」に限れば、もう少し別の面が見えるかもしれないが、概要報告からは、よくわからない。

いずれにせよ、この話で一番の“犯人”はスマホのようだ。ただ、ニュースにある大学生協のコメントのように「おカネ」の話も大きいと思う。

同じ調査では仕送り金額も調査しているが、これもまた右下がりだ。

で、あまり指摘する人がいないけど、僕が気にしているのは本の価格だ。

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TKGなわけで、都知事選が終わった。終盤の情勢調査で「細川と宇都宮が横一線」と聞いた時、ああこれはもう決まったと思った人は多いだろう。なぜなら宇都宮氏の得票は支持基盤や実績からしても、100万弱だろうし、それと同じとなるとかなり厳しいからだ。

今回の数字を分析するなら、昨夏の参院選を見るとよくわかる。おそらく、立候補する人、特に細川陣営はこの数字を見て「さてどこからどれだけいただこうか」と考えたはずだからだ。

というわけで、参院選の得票を見てみる。(右のアルファベットは今回の都知事選の指示対象者)

まず舛添陣営の立場で見ると、自公の票を足すだろう。これが計247万。

宇都宮陣営は、共産に加えて、前回実績や山本太郎の票から100万くらいは見込むだろう。

田母神氏は、維新の41万に上乗せできるか?と目論む

さて、細川陣営はどう考えるか?

民主系は79万。これにみんなや山本太郎から半分と仮定しても140万くらいは「ありそう」に思えたのではないか。

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