50歳を越えて2年半ほどになるけれど、何か始めてみようかと思ったことがあって、それは“ぬか漬け”だった。
前から関心はあったんだけど、こういうのはきっかけが要る。SNSで知人が紹介していた無印良品のケースを買って、「上手に漬かる」という鉄粉ぬか床で始めることにした。ぬか床にも、スタートアップ用のモノがあるのだ。
糠は生き物というけれど、本当にそうだ。2年を経過して最近は調子がいい。というかちょっと良すぎるくらいだ。キュウリなどはあっという間に漬かってしまうわけで、一部冷凍して若い糠を入れた。
つまり2年ほど経ってようやく本調子になってきたわけだが、糠というのはもっともっと長生きだという。何十年も経った糠で漬けたものを出す店もあるくらいだから、少なくても自分より長生きできるのだろう。
それにしても、実際に漬けてみると面白い。定番のキュウリや大根、ニンジン、カブもいいけれど、大概の野菜は漬かる。今の時期ならアスパラガスやプチトマトもうまい。キャベツやピーマンは安定的で、軽く下茹でしたジャガイモも味わい深い。 >> ぬか漬け三昧の日々。の続きを読む
自宅の近所の内科に医者に数回行く機会があった。小児科でもあり、9時過ぎに行くと殆どが小さな子どもを連れた親子連れだ。
そして、父親が連れてくる光景も毎回見る。4組に一組くらいだと思う。
近所に私立幼稚園があるが、父親に連れられていく子も増えた。「育児に参加」というより、もっと自然な流れなのだろう。
で、ふと気になったのが「イクメン」という言葉だ。身の回りでも小さな子どもを抱えて、それなりに父親も奮闘している人を結構知っているが「イクメン」という言葉を生で聞いたことはないし、「彼はイクメン」という話も聞かない。
この言葉を検索してみると面白いことがわかる。人によって異なると思うが、一番上に出てくるのは、厚労省の「イクメン・プロジェクト」のサイトだ。
その後に出てくる見出しだが、ことごとく「イクメン」に対してネガティブだ。
「絶対になってはならない」「もうやめませんか?」「なぜ嫌われるのか?」「夫婦を不幸にする」などなど。
「父親として普通のことをしている」人に対して、何らかの称号をつけようとしている時点で、どこかずれているのだろう。 >> イクメンという「若死語」。の続きを読む
英国のEU離脱のニュースが、最近の国際ニュースの中では相当大きく、かつ継続的に話題になっている。しかも、大上段の分析ではなく、「身近な自分ごと」として捉えている人が多いようだ。
残留派/離脱派のそれぞれの傾向については、既に多くの解説が出ている。地域・年齢・階層など、いろいろな切り口はあるだろう。ただ、日本人としても何となく察せられるのは「グローバル化という慌ただしさ」への心理と行動が、人によって違うんだろうなということじゃないか。
グローバルとデジタル。この2つの波をどう捉えるか?というテーマは、20年以上前、会社員時代に言われた。人によって違うかもしれないが、もう相当の期間「わかっている」ことではある。
ところが、人によって行動は異なる。
「グローバルを受容して、積極的に動く」(受容/積極)
これができる人は、もうまっすぐに進んでいく。成果をあげている経営者やビジネスパーソンの多くはそうしているだろう。いわば「イケイケ・グローバル」 >> 「グローバルは嫌」だけど、何もしない困った人々。の続きを読む
「オレの愛したソニー」という連載記事が話題になった。
ソニーという企業は不思議なもので、社員でもないのにやたらとソニーに詳しいという人がいる。いわゆる「ソニー本」のマニアという感じだが、そうでなくても日本人の関心を惹く企業であることは間違いない。
個性豊かなOBたちのインタビューは、お話としても面白いし、経営を考える上で学ぶことも多い。歯に衣着せぬという表現通りで、存命の経営陣もバッサリだ。それにしても、現役社員の気持ちはどうなんだろう。
で、僕がずっと引っかかっていたのはタイトルだ。これは、編集部がつけたものなので、ソニー自体とは関係ないのだけれど、このフレーズにピタリとくる企業名はそうそうないのではないだろうか。
まず、「愛した」という時点で擬人化されている。つまり、ブランド・アイデンティティが強烈じゃないと成立しない。
そして、何といっても一人称が「オレ」だ。つまり、男性である。ここでは対象が「女性的」なパーソナリティでないと、成立しない。
「オレが愛したクレーム・ブリュレ」ならまあいいけど、「オレが愛した納豆蕎麦」では、成り立ってくれない。「カレー南蛮」も厳しくて、「一枚のせいろ」ならどうにかなるのか。
いや、そういう話ではない。 >> ソニーという女神を巡る、男たちの愛憎。の続きを読む
いやぁ、英国がやってくれた。僕は世論調査よりもブックメーカーの予想を信用していたので、そういう意味でも驚いた。
SNSなどで見ているけれど、周囲の人間はこの結果をマイナスに受け止めているし、市場の動きがすべてを物語っている。「つながる世界」の一端が綻んだのだから、日付変更線に近い東京がもろに嵐をかぶることになった。
僕なんかよりももっとたくさんの外国人と仕事しているような人は「周りには誰一人離脱派はいない」と言っていた。どこかで聞いたな、と思ったけれど「離脱派」を「トランプ支持派」と読み替えれば思い当たる。
つまり、いま現役世代でビジネスの前線にいる人と、それ以外の人には大きな溝ができているのだろう。これは、世界中、というか先進国中心に起きている現象だと思う。
英国でも50代以上で離脱派が優勢だったようだが、つまり「自分は世界とつながってない」と思ってる人なんだと思う。
国境を超えた「グローバル」な社会への嫌悪や懐疑が、想像以上に広がっているということか。
本音を言うと、僕だってそれほど「グローバルなつながり」に振り回されたくはない。自分の幸せは、半径10メートルで実現できればいいんじゃないか?と思う。 >> 高齢層が推した「EU離脱」で、ドリアン・グレイを思い出す。の続きを読む