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「就活に強い大学」とかいう特集が目につく。季節的なものもあるだろうが、今年はなんと「夕刊フジ」とかにも出ているようだ。親が就活を気にするというか、きっと口を出すようになってきたというか、そういう世代が大学生の親になったということで、それは自分と同じ世代だったりするんだけど。
じゃあ、一番就職に強い大学はどこか?これは、いろんな基準があるので雑誌によっても異なるだろうが、自分の印象でいうと一橋大学である。実際そういうランキングにした雑誌もあるようだが、これは実感に近い。
理由は単純で、学生の質に加えて絶対数が少ないことである。一学年が1000人くらいではないだろうか。東京大学が3000人くらいで、早稲田だと10000を超えるはずである。この絶対数の少なさ=稀少性が就活にどう影響するのか。
それは採用側の視点で考えればすぐにわかる。
人事としては、最終的に「いい学生」を取りたいのだが、大学のバラエティは確保したいのである。多くの経営者は、採用の細かいことを見ない。100人採ったら、「どの大学から何人」を大雑把に見る。その時に特定の大学ばかりというのは、あまり好まれない。まして、一橋のようなクラスを取り損なうと「採用担当は何をやっているんだ」ということになりかねない。実際に一橋の学生を取り損なうことは結構あるようだ。これは、卒業生の多い大学では考えられない。
一方で、慶応のことを人事担当者は「ゴキブリ」に喩える。ともかく、ワラワラと人気企業に群がってきて、しかも落そうにも結構しつこい。これは、最近のことではない。僕が就活をやっている頃に、人事部にいるとある先輩に聞いた話だ。これは今でも変わっていない。必然的に慶応の学生のライバルは慶応の学生になる。
さて、このように考えると、実は多くの大学生にとってのチャンスが見えてくる。いわゆる「中堅私大」の学生は、もっともっと機会があるはずなのだ。

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最も優れた人が組織のトップになるとは限らない。
これは疑問と言えばそうなのだが、歴史を見ていると「困った人がトップになる」ことの方がよっぽど多いような気がする。特に歴史の変曲点では「困った人があふれた時」に起きるので目立つかもしれない。
 ただし現在において政治家はもちろん、経営者の中にも困った人は結構多い。とりわけメディアや広告の世界というのは元々閉鎖的なこともあって、経営者の言葉も内向きになりやすい。

最近もよく耳にする「経営者の言葉」の中で「これが出たらやばい」というのを3つほど挙げておこう。「まだそんなことを」と思うかもしれないが、結構根強かったりするらしい。メディア関係だけに限らないようだが。

◆現場主義

これほどわかったようでわからない言葉もない。「事件は会議室で起きてるんじゃない」という某刑事の言葉に若い人が共感したことを漏れ聞いたオジサンが慌てて言い出したようで、いまだに結構耳にする。
ただ、あえて「現場主義」を口にする経営者は「現場のことしかわからない」ことが殆どだ。マクロが苦手なだけなんだけれど、その反動で「戦略」とかを忌み嫌ったりするわけで。
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明日から、多くの若い人たちが社会に出ていく。
自分が大学で教えたり、就職の世話をした者からは、あいさつのメールも来た。
卒業式もなく、また入社式すらなくなったという人もいるかもしれない。「運が悪い」と思った人もいるだろう。
単なる自粛ムードだけではない。エネルギー供給が不慮の事態となり、それはまた一時的なものではないことがわかっている。いま、日本は本当に重苦しい。「なぜこんな時に社会人に」と感じることもあるはずだ。でも、人間は自分の生きる時代を選ぶことはできない。
2011年の春に社会に出ていくことには、きっと大きくて重い意味がある。その意味は、まだ誰にもわからない。しかし、「どんな意味があるのか」を決めるのは、新人一人ひとりだ。
明日社会に出る人々は、同期の仲間たちと、たくさんたくさん話をしてほしい。将来の不安を分かち合ってもいいし、夢を語ってもいい。大人たちのダメなところを罵ってもいい。
今年の新人は、かつてないほど色々なことを考えて、語り合うだろう。その語り合いの中から、きっとエネルギーが生まれてくると信じている。
2001年の春、社会に出た。それは、将来みんなの誇りになることだろう。
健闘を心から祈っている。



結局、いろんな「ナビ」がオープンすることが就職活動のスタートということなのだろうか。リクルートが何を約束しようが、学生が浮き足立っていることは大学で教えていればすぐにわかる。
さて、ナビではわからない「正しい会社の見分け方」を今日は書いておこう。これは、大学生に対しての実際のアドバイスの1つだ。
卒業生を訪問できれば一番いいのだが、最近は個人情報の関係でそれも難しい。また大学によっては、企業における卒業生数自体が少ない。そういう時にどうするか。とりあえず3つ。
その1.昼休みにオフィスから出てくる社員の顔を見る。
よく、「面接は顔」という噂もあるが、それは半分くらい当たっている。美顔である必要はないが、学生が思っている以上に顔の情報量は大きい。だったら、学生も社員の顔を見ればいい。一番いいのは12時前後である。
出社の頃は、どの会社もそこそこ疲れている。それは仕方ない。しかし、いい会社であれば12時までに「いい顔」になる。そして、仲間とランチタイムに出てくるので職場の雰囲気もすぐにわかる。
この「仲間」も重要だ。自宅の近くにメガバンクの支店があるけれど、ここから出てくるのは中年の男性連ればかり。つまり、タテ関係が死んでいる。話を聞いていても実につまらない。
年齢の差があり、また男女のグループだったりと、活気のある会社はランチタイムのグループも元気だ。朝や夜よりもランチタイムは会社の縮図になりやすい。
近所に飲食店があるのに、社員があまり出てこない。もしくはコンビニがやたらと混んでいる場合は要注意だと思う。社員食堂やコンビニで昼飯を済ます人が多いというのは、いろんな意味で「余裕」がない。金銭的な面だけではなく、時間にも追われていることが多い。
もっとも社員食堂が充実している、ということはいいのかもしれない。しかし、そうした福利厚生を前面に出している会社は、「何かを隠している」という可能性もある。だって、一旦給料上げたら下げるのは難しいけど、社員食堂のコストダウンほど簡単なものはないでしょ。つまり「いつでも手のひらを返せる」制度だから。
そもそも、「外に行こうよ」という感覚が少ない会社というのは、いろんな意味で「追われている」可能性を疑っていいと思うのだ。
特に今日のような秋晴れの日だったら、ランチタイムは「お楽しみ」の時間だ。ぜひ、社員の顔を見て一方的に面接されることをおすすめしたい。その2は明日書くね。



(2010年10月7日)

カテゴリ:キャリアのことも
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就職活動で必ず話題になるのが、「大学フィルター」の話である。
エントリーの時点で、学校によって「分類」されているのでは?という疑問は学生の間では根強い。ただし、実際の経過を見ると「収まるべきところに収まる」という感覚になる。それでも、大学の難易度と有名企業の内定者数はある程度比例していることも事実だ。
そこで勘違いされるのは「勉強のできる学生は本当に社会人として”優秀”なのか?」という、これまた繰り返される疑問だ。
こういうことって、現役の人事は決して言わないはずなのだけれど、重要な問題ではある。
僕の考えを言うと「勉強ができたか」はまあどうでもいい。ただし「受験で一定の成果をあげたか」ということと、就職活動で求められることは結構似ているということである。
受験で大切なことは、個々の科目の得点が高いことだろうか?それは結果としてはその通りである。しかし、それとは別個の能力が要求される。
まず、自分自身の適性や能力を冷静に見極める「自己分析能力」
また、限られた時間の中でものごとを進行させていく「計画性」
さらに、”このことをきっと成し遂げるぞ”という「達成志向性」
そして、いろいろな遊びや活動とのバランスをとっていく「自己管理能力」
こうしたコンピテンシーは、社会人においてもきわめて大切なものなのだ。つまり、「受験というプロジェクト」で一定の成果を挙げた人は、18歳の段階で社会人としての基礎能力を鍛えていることになる。

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