考えてみれば、会社辞めてから15年以上在宅勤務なわけで、事務所を借りなかったのは単に出勤が面倒だったし、別に自宅でどうにでもなる仕事だからだと思う。辞めた頃は仕事部屋もなかったが、その後引っ越していまの部屋で12年になるのか。

そして、世の中は一気に在宅で働くようになったわけだけど、自分がしてきた習慣を書いておこうと思う。

 

1.出社時間ではなく出発時間から仕事する

仮に9時出社で8時に会社を出る人なら、8時から働いた方がいいと思う。そして、その分早く終わらせる。会社によって在宅時の制度は異なると思うが、可能なら早いスタートに越したことはない。通勤という不合理を実感できるはずだ。

 

2.ちゃんと着替える

なんとなく「ルームウェア」のようなもので過ごす人もいるかもしれないが「会社へ行ってもいい」服装で過ごした方がいいと思う。僕はずっとそうしてきた。会社辞めて間もない頃、自宅で仕事をされている文芸評論家の人と話した時、「着替えてる?」と聞かれて「はい」と答えたら「だったら大丈夫」と言われた。いろんなフリーランスを見てきたようで、どうも「ちゃんと着替えない」人はダメらしい。だったら、事務所を借りた方がいいそうな。もちろんスーツの必要はないだろうけど「人に会う」くらいの格好ということ。

 

3.コンビニめしは食べない

僕は1人の昼飯は冷凍したご飯を温めて自分で作ったぬか漬けとか、冷蔵庫の常備菜を食べる。あるいは外に食べに行く。自分でこさえても、外へ出ても気分転換になる。自炊すると健康管理もしやすい。そう考えるとコンビニの食事は、なんとなく仕事からのけじめもつかない。パソコンの前で、そのまま何かを頬張ったりしてると効率はかえって落ちると思う。

 

4.カフェで仕事をしない

気分転換で外に行くなら、いったん仕事は忘れて読書した方がいいと思う。場所を変えたら何か閃くとか期待しない方がいい。会社員時代に見てて思ったけど、すごく仕事のできるクリエイターはたいがい自分のデスクで考えていた。環境を変えればいいと思ってるとすれば、それは夏休みの宿題を図書館でやろうする中学生と同じ発想じゃないかな。あれって、結局大して進まないでしょ。

 

5.決まった時間歩く

歩数はスマートフォンで記録できるし、1万とは言わないけど歩くことは大切じゃないかと。パソコンの前だと「作業」になって、それで仕事をした気になるけど、本当に構想やアイデアを考えるなら、画面から離れるのも1つの手だと思う。

 

まあ、人それぞれだと思うけど参考になれば。



これほど、4月1日らしくない4月1日もないように思う。僕もいろいろな仕事がリモートになり、企業から依頼されている新入社員のトレーニングも自宅からオンラインでおこなうことになった。

そんなことで、新人としての初日から自宅待機になる学生たちと話した時に言ったことを書き留めておこうと思う。

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まず、これからの期間はとても貴重な「備えるための時間」だと思う。単に「待機」というだけでなく会社からいろいろな課題も出るだろうしオンライン講義もあるだろうけど、それ以上に大切なのは、いつか仕事に参加する日に備えて「自分で準備すること」だと思う。

あるスポーツライターに聞いたのだけれど、どんな優れたアスリートでも「自分のチカラではどうしようもできない」時があって、それはケガなどをしてプレーできない時期だ。

そして、そのような時にどうするかで一流とそれ以外の岐路があるらしい。

普通の選手は、静養してリハビリテーションに励む。これは当たり前のことだろう。

二流の選手は不貞腐れて酒を飲んだりする。ケガの時に一番してはいけないことだけど、昔は有名なプロ選手でもそういう人がいて、結局はキャリアを棒に振ってしまった人もいたという。

そして、一流の選手は治すだけでなく、いつかその時に備えて自分で考えて行動するという。下半身を痛めたら、体幹を鍛える。プレイできない時こそ、時間を活かしてできるトレーニングをする。あるいは、何かを読んで学ぶ。

今年の新入社員にとっても「自分のチカラではどうしようもできない」という意味では、まったく同じだ。

だとすれば、いろいろな本を読んだり、オンラインで自ら語学などを学ぶなど、いろいろと自分を磨くために時間を費やすのものいいし、食生活を見直して料理でもして体調を整えることを学ぶのもいいと思う。できる限りで、体を動かすこともできるはずだし。夜も週末も自宅にいる機会が多いから、これをチャンスにできるはずじゃないかな。

自分ではどうしようもできない、ってことはこれからいくらでもあるだろう。たとえば、望まない配属先になってしまったとか。

でも、そういう時も「いつか」に備えてきた人は、かならずキャリアを拓いている。

だから、この異例の4月を機会だと思って、「自ら備える」貴重な時間として活用したらいいんじゃないかな。実は今年の新人は、「いままでにないチャンスをもらってる」と捉えてみれば、何かが変わるはずだ。

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というわけで、いきなり不安の真っただ中にいる新入社員の人に届けることができればと思い、書いてみた。

でも、考えてみれば社会人の中で「最も長い未来」があるんだから、この大変な期間も相対的には一番短いんだしね。

健闘を祈ります。



日本の中高年の男性は、「とりあえず集まる」のが好きだと思う。

タイトルと何の関係か?と唐突に見えるかもしれないけど、その前提でいま起きていることを見てみると、いろんなことがわかってくる。

新型肺炎は、国内感染が広がりそうな感じになっていて、とりあえず「遠くへ移動する」や「みんなが集まる」ことが敬遠されている。そうなると、旅行やイベントだけではなく、日々の出勤も対象になりつつある。

いわゆるリモート勤務だ。もう、都市部のラッシュは就業者と観光客の増加で一段と大変になっている割になかなか広まらなかったから、いい変化だと思う。育児や介護など、家庭生活との兼ね合いにおいても選択肢が広がるし。

ただ、こういう動きで困る業態もあるわけで、たとえばオフィス街の飲食店は厳しいだろう。

まず昼は会社員がランチして、夜は飲みに来てくれて、ビルの上にあるホールに来る客も寄ってくれるような店。

大手町当たりの地下にあるけど、ランチはともかく夕刻以降はいかにも昔ながらの男性サラリーマンくらいしかいない。これでリモート勤務になって、カンファレンスも中止とかだときついだろうなと思う。

そんな感じで「会社員の行動に依拠している」ビジネスはどこも大変だ。そもそも「仕事は一ヵ所で集まってすること」という前提に依存しているわけだから、「別にどこでもいいじゃん」となったら、成り立たなくなってしまう。

「出張」も同じだ。あれだけ新幹線に乗ってるビジネスパーソンで、「本当にそこに行かなきゃいけない」人って、どれだけいるんだろ。ZOOMとかのビデオ会議は本当によくできていて、大企業が労力かけて本社と研究所を結んだシステムなどより、ずっと使いやすい。

で、冒頭の話に戻るけど、この新型肺炎にともなう行動変化って「集まって仕事する」ことの見直しなんだと思う。で、今までなんで変化しなかったのかというと、日本のビジネス界の中枢にいる人、つまり中高年の男性が「とりあえず集まる」のが好きだったからじゃないか。

そこにはまったく合理的根拠はないはずで、単に会社に入ってから「そこにずっといるのが好きな人」が結果的に出世して意思決定してきたからだと思う。
「集まるのが善、会うなら直接」というわけで、「とりあえずのご挨拶」から定例会議や出張、そして日々の通勤まですごくコストがかかっていたのが放置されてた。でも、状況は逆転して「集まるのは悪、会うのはオンラインで」ということになると、ビジネスの空気感は変わると思う。

皆を集めて威張っていたような人は「なんだっけあの人」となり、どこにいても仕事ができる人はあらためて注目される。ここで考え方を変えられない企業からは人材が出ていくだろう。家庭や個人の事情がいろいろある人にとっても働き方の選択肢は広がる。

だから結果として「惰性の男社会が変わる」というのは、結構な可能性があると思うのだ。

で、こういう時に「とりあえず集まってみる」ような人がどこにいるんだろうかと思っててテレビを見ると、見事に中高年男性の人たちがたくさんいて、それは国会中継だったりするのだった。

 



[この内容は先日青山学院でおこなった講義の最終回で学生から就職活動を含む広い質問を受けた時に答えた内容です]

 

会社選びの基準、というのはたくさんあります。まず「やってみたい仕事」はもちろんだし、待遇も重要でしょう。その企業の業績や将来性、あるいは社風などもあります。

そんな中で最近、私が気にしているのは「女性がイキイキとしているか」という視点です。そういう会社は女性にとってだけではなく、男性にとっても「いい会社」だと思うのです。

なぜか?結論からいうと、そういう会社は「環境変化を先取りして動いているから」ということです。それは、企業が成長する上で欠かせない条件です。

さて、具体的に考えてみましょう。たとえば女性が働いていくうえで「産休」「育休」ということは、大きな課題の1つです。多くの企業が制度を整えていることは知っていると思います。男性の育休も話題になりますが、産休も含めてまずは女性の環境を考えることが大切です。

ただし、単純に考えると企業としては出産や育児のために貴重な戦力を一時的に失います。敢えて「戦力」と書いたのは、そういう発想をしている人が多いからです。そういう考えだと、その「戦力」を埋めようということになり、当然周囲の誰かが肩代わりする。あるいは、そうした休暇を見越して増員する。そうすれば結果的に生産性が下がることもあるでしょう。 >> 【青学講義覚書】会社選びでは「女性がイキイキしているか?」が大切。の続きを読む



それにしても、2018年は僕の周囲でも「人の動き」が多かった。まあ、それにしても、能力のある人ほど、意外な方向に職を転ずるのだ。もう何というか、人材をめぐる争奪戦は「フルーツバスケット」のような感じになっている。

あの椅子取りゲームで「フルーツバスケット!!」となり、常に人がワイワイしている状況が当たり前になっていて、とにかく「人材」の話は絶えないわけで、そこにはいろんな理由がある。

ひとつには各分野でデジタル化がどんどん進んで、ある程度の「標準装備」は可能になった。そうなると、「結局誰がやるんだよ」という話になる。いろんなシステムは「誰でもできる」ことを目指してきたんだろうけど、同じことをしていては競争には勝てない。

というわけで、求められるのは「より高度な人材」ということになる。

一方でワークスタイルについては、想像以上のスピードで変わっている。4月には働き方改革関連法が施行されて、勤務時間は制限をされる。そうなれば「時間をかけて頑張る人」よりも「短時間で成果を上げる人」へのニーズはますます高まるだろう。 >> 人材のフルーツバスケットで、20代×50代が気になる理由。の続きを読む