で、京都の続き。土曜の午前中に大徳寺へ行き、昼食を挟んで妙心寺へと回る。今回はミホミュージアムに遠出したこともあり、そのままレンタカーを借りている。中心部もないので、道も空いておりスムーズだ。
途中、金閣寺近くのバス停は相当ごった返しているが、妙心寺は駐車場も無料ですぐに止められる。
この寺に関心があったことの1つは「瓢鮎図」が所蔵されていることだ。「瓢箪でナマズをおさえる」という図で、「ひょうたんなまず」という言葉もあり、「とらえどころのないこと」を指す。昔はそういう言い方をする人もいたように思うが、今では聞くことも少ない。
この作品は絵自体もユニークだが、上の方に多くの人の画賛がある。この辺りを詳しく研究した「瓢鮎図の謎」という本がたいそう面白かったこともあり、一度来たいと思っていた。ただし、オリジナルは京都国立博物館に寄託されており。こちらにあるのは模写だ。
ということもあって、庭に向けて無造作に掲げられている。模写とはいえ、高名な作品だし、もう少しどうにかならないのかと少々残念ではある。 >> 週末京都紀行②じっくり妙心寺。の続きを読む
今回の京都行は、ミホミュージアムの限定公開期間に合わせたこともあり、その後から寺社を選ぶことになった。折角なので、冬の特別公開に合わせて、土曜には大徳寺から妙心寺へ行くことにした。
どちらも臨済宗の立派な寺ではあるものの、観光地としてはそれ程に込み合っているようでもないし、ガイドなどにもあまり詳しく載っていない。ここしばらくは京都に行ってなかったのだが、近年は訪日観光客の増加でごった返しているということもあり、静かなコースを選ぶにはちょうどいいようにも思ったのだ。
大徳寺は北大路にほぼ面したような位置にある。千利休にまつわる逸話や、一休さんなどにも縁がある寺で、20を超える塔頭があるが常時公開されているのは少ない。
朝ということもあって、人影も少ないが、まず聚光院から入る。こちらは創建450年の特別公開ということで、まずは狩野永徳と父・松栄による本堂障壁画である。
ある程度予想はしていたものの、この旅の「狩野派お腹いっぱい」の第一弾。しかも、いきなりのメインディッシュという感じである。かつてパリのルーブルからモナリザが来日した時の返礼としてフランスで展示されたという作品だ。
「瀟湘八景」「竹虎遊園」「琴棋書画」など有名なモチーフの作品群であり、障壁画のエッセンスが凝縮されている。
庭から裏手に回ると「閑隠席」「升床席」の2つの茶室があり、書院には千住博による襖絵がある。明るめの群青で滝をモチーフにした障壁画で、2013年に完成した作品の初公開ということで、ある意味これがもっとも驚きでもあったし、別の意味で稀少性があるともいえるだろう。
続いての芳春閣は、前田利家の妻松子(まつ)による建立。庭は大好きな桔梗を植えていたそうだが、開花時期以外は草が伸び放題になることもあり、現在は枯山水になっていて、中井金作氏の設計になるという。 >> 週末京都行①大徳寺と京野菜がうまい理由。の続きを読む
身延からバスに乗って、1時間半。奈良田温泉の宿は一軒だけである白根館。トイレと洗面は共用だが、最近はこういう宿に泊まることが多い。学生時代の合宿などはそんなものだったけれど、気がつくとトイレ洗面付の部屋が当然になってきた。
ただ、実際に泊まると大して不便ではない。食事は広間だが、こういう宿も多い。団体の宴会も減少したこともあるのだろうが、旅館としては部屋食よりも人手がかからないし、客としてもできたての料理をいただける。一方で、部屋食の旅館は小さい子どものいる家族などにはいいだろうし、そうした棲み分けも進むのだろう。
一泊二食でこのような価格というのは考えてみれば、相当ありがたい。というか温泉もついて100ドルでこれだけ楽しめるというのは先進国ではなかなかないだろう。海外の旅行者が日本の物価、とりわけ外食に割安感を感じるというのはよくわかる。
こうした小さな宿を予約するときに僕は電話で予約する。というかネットの予約サイトは使わない。宿を探して空室検索などは使うけれど、予約は電話だ。
というのも、こうした予約サイトは成約時にそれなりの販売手数料をとるわけだが、僕は自分の払ったお金はすべて宿に渡したいと思う。R社やR社に、おカネを払うくらいなら、少しでも宿に払いたい。現金だけの支払いというのも、納得している。小さな規模で良心的な価格設定をしているのだから、手数料負担を避けたいのはよくわかる。V社やM社に……(以下略) >> 【旅の話】100ドルの極楽、奈良田温泉。の続きを読む
鏡開きの日が誕生日なのだが、別にわざわざ行きたい店もあるわけではないので「自分の行きたいところに行く」ということにしている。昨年は、八甲田から花巻という雪中行だったが、今年はもう少し近場にしようといろいろ考えた。
そうなると、大体行ったところが多いのだが、ふと何年か前の誕生日を思い出した。東京から内房線で館山に行き、外房線で帰ってくるということをしたのだ。日帰りだったのだが、誕生日は「自分のしたいことに妻がつき合う日」のようなものになっているのだ。
で、一つ空白エリアがある。身延線走破をしていない。これは日帰りだと大変だし、沿線には温泉もありそうなので一泊で行くことにした。
身延線は静岡の富士と、山梨の甲府を結ぶ路線だ。甲州道と東海道を結ぶルートはあってもいいとは思うが、いざあったとしても、そうそう往還があるわけではない。だからこそ旅にはうってつけなのだ。
ルートとしては、一日目に富士から北上して、身延駅で下車。ここからバスで1時間半ほど乗って終点の温泉を目指す。
翌日は、同じバスで戻り甲府へいって、中央本線で帰京することにした。
で、初日だがいきなり軟弱にも新幹線で三島へ。ここで、駅弁を買って在来線に乗り替える。 >> 【旅の話】身延線を北上する。の続きを読む
一か月ほど前だが、クルマで一人旅をした。妻が義父母を連れて小旅行に行ったので、そこから戻るタイミングで愛知の方へ行こうと思ったのだが、折角だから寄り道をしようかと。
東京から名古屋に行くのは、普通なら東名高速だが、寄り道をするなら断然中央高速沿いの方が面白い。南信で1人で泊まれる宿を探して、木曽福島辺りと迷ったのだが「大鹿村」を目指すことにした。諏訪で高速を降りて、あとは152号線をひたすら下る。
途中で高遠という町を抜けるのだが、ここは蕎麦が有名のようなので、だいたい行程は決まった。出発は10月の最終金曜日。天候はまずまずだ。
9時過ぎに、1人で中央高速を下っていく。相模湖から談合坂の坂を登り笹子をくぐって長い下り坂。勝沼を過ぎた頃から道も空いて来て、順調に諏訪で降りる。
間もなく一つ目の峠で、「杖突峠」というわかりやすい名前。眼下に諏訪を一望する展望台で休み、一気に高遠へ。下調べはしたのだが、蕎麦屋の看板が見えてちょっと気になったので衝動的に飛び込む。
高遠の蕎麦は、普通のつゆもあるが、味噌だれが名物。すり鉢に味噌を溶くようにつゆを混ぜていく。混ぜることを前提にしてバランスをとっているので、決してくどくはない。折角だからと、もう一軒はしごしてもり蕎麦を食べた。信州の蕎麦はこの10年くらいでつゆがキリッと洗練されていると思うけれど、高遠の蕎麦は相当にうまい店が揃っているようだ。 >> 信州大鹿村への一人旅。の続きを読む