若い人は、いろんなことを知らない。まあ、それはある意味当然なわけで、歳を重ねれば知識が増えるのが道理のはずだ。だから、「知らないこと」自体に驚いたり、まして批判したりしてもしょうがないとは思っている。
ところが、最近は学生や20代の若い人と話すと、「エ?」と思うことが増えた。
日本がアメリカと戦ったことを知らないとか、ウナギイヌを見たことない、とかそういうんじゃない。
普通のブランド名を知らないのだ。
「知っている自動車メーカー」というと、まずトヨタが挙がる。「高級なクルマ」というと、「ベンツやBMW」というのも知っている。ところが、他のメーカーになると怪しい。
「スバルってマツダが作ってるんですか?」というような話になっても、別に普通で驚かなくなった。
「自宅にあるウィンドウズPCはどのメーカーか?」
これも、結構怪しい。親が持っていたりするのを使うこともあって、それは「ウィンドウズ」なのだ。最近だと日本メーカーとは限らない。そして、富士通やNECなどの企業イメージもほとんど薄い。「mac bookとそれ以外」という感じだ。
なぜか?と考えてみると、そもそも「ブランド認知」の機会が減っている。それは、テレビを見ていないことが大きいと思う。この辺りは横山隆治さんの『新世代デジタルマーケティング』に詳しいが、彼らに「知ってもらう」のは本当に大変だ。 >> 「スバルってマツダが作ってるんですか?」と学生が言っちゃう理由。の続きを読む
ネットの広告、中でもウェブサイトに配信される広告は「けなげだなあ」と思うことがある。
つい先日、読売オンラインで日産スカイラインについての記事があった。
『「スカイライン」60周年、歴代13モデル展示』
そんな見出しで、写真がある。いま乗っているクルマだから、関心があったのだ。(と思ったら昨日で終わっていたよ、ガッカリ)
で、その写真の下にこんな広告があった。
『最先端技術と先進のデザインで、時代の先を走り続けるトヨタのセダン』
いや、もう図ったようにというか、図り損なったのか。翌日に見たら、また出てきた。つまり、”TOYOTA SEDAN COLLECTION”というウェブサイトがあって、そこへの誘導を図っているのだ。
もう、「けなげ」というか意地らしいというか。どれだけの効果があったのか知りたいところだ。僕はとりあえずクリックしたけど、プリウスもセダンとされていたのは何となく驚いた。
で、最近のネット広告で気になるのはタワーレコードだ。さすがに少なくなったけれど、CDを買うことがある。ほとんどがクラシックなのだけれど、タワーレコード限定の面白い企画もあり、spotifyなどでは聴けないものはついつい買ってしまうのだ。
実際に買わなくても、よくサイトは訪れている。すると、間もなく広告が出てくる。
かつては、既に注文した商品ばかりが出てきて「惜しいなあ」と思っていたが、最近は少し気が利くようになってきた。
ところが、時折妙なことがある。 >> ネット広告の配信って、どこか「けなげ」だよなぁ。の続きを読む
テレビドラマは殆ど見ないんだけど、どんな番組が見られているかは一応気にする。
で、「逃げ恥」などのヒットはあっても、基本的に若年層向けは元気がなく、高齢者が見てくれないことには世帯視聴率は上がらないこともわかってはいる。
というわけで、「相棒」のような刑事ものや、「ドクターX」のような医者ものが安定的で、その辺りにテレビ朝日が強いのも知識としては知っているが、前者は旅先で1.2度見たくらいで、後者は未見だ。
でも、さすがにこのクールの刑事ものの多さは凄いんだなと思う。
4/22時点での平均視聴率ランキングというまとめページがあるんだけど、1,2,3,4,7位が刑事ものだ。そして、やたらと警視庁が舞台になっている。しかも捜査一課。
捜査一課といえば、「泣く子も黙る」的なポストだ。しかも、400人近い大所帯を束ねるというんだから、「日本最強の課長」と言ってもいいんじゃないか。
では、今のテレビではどんな捜査一課長がいるんだろうか?というわけで、捜査一課に関係しそうなドラマだけで調べてみた。
「緊急取調室」(テレビ朝日) 三上市朗
「警視庁捜査一課長」(テレビ朝日)内藤剛志
「小さな巨人」(TBS)香川照之 (前課長)春風亭昇太
「警視庁捜査一課9係」(テレビ朝日)不明
何がすごいって、テレビ朝日だけで3つもあるわけで、いまは「相棒」がお休みだけど、これが「9係」と入れ替わるのか。これだけお世話になっていたら、もう朝日は捜査一課にはアタマ上がらんのじゃないのか?と心配になるくらいだよ。 >> 「捜査一課」だらけになっちゃったテレビドラマ。の続きを読む
浅田真央の引退のニュースには驚いた。いや、引退したという事実ではない。「まあ、そうだろうな」という感じだ。驚いたのは、ニュース量の多さだ。
発表の翌日、NHKニュースは朝昼夜とトップだった。別に何か新しいことがあるわけでもなく、いろいろな人の声を伝えている。しかも泣き始める人もいるので、失礼だけど、これはまるで逝去のニュースのようだと思った。
もちろん、民放も引退関連一色だったようだ。
おそらく、テレビ局にとっては「重要」だったのだろう。そして、その重要さというのは地上波のお得意様の関心を引くかどうかということになる。そして、お得意様はお年寄りだ。
以前からわかっていたことだけど、テレビの高齢者シフトはここに来て一段と進んで、しかもニュースが相当に偏るようになった。最近だと、「小池・森友・真央」でしばらく回るんじゃないだろうか。
僕は自宅で仕事をしているし、昼間の時間は相当に自由に動いている。家で昼飯を作って食べることもあるし、スポーツジムへ行くこともある。ジムにいるのは、高齢者ばかりで、ロッカールームの会話を聞いていると面白い。
「あいつも頑張ってる」というから誰かと思ったら、「小池の娘が」とか言ってた。まあそれなりの歳の仲居さんに「お姉さん」と言うこともあるんだから、都知事を娘と言ってもいいだろう。多分昨年は、舛添氏の買い物内容を熟知していたに違いない。
もちろん籠池一家は人気者だ。浅田真央に至っては言うまでもない。
そしてエアロバイクに座って、とりあえずモニターをつける。昼の番組は、ロッカールームの話題そのものだ。興味もないので音を消したままにしておいて、とりあえずkindleをオンにする。だいたいそんな感じだ。 >> 「小池・森友・真央」でテレビは回るけど。の続きを読む
昨年末の押し詰まった頃に、とある飲み会に出た。大学で所属していたサークルの現役と卒業生が集まったのだ。
毎年50人くらいは部員のいる団体で、この夜に集まったのは全部で50人程度。そう書くと、寂しいようだがそういうわけではない。これは、オーケストラの中のパートの会で、ホルンという楽器を吹いていた者ばかりが集まったのだ。
サッカーのサークルで「ゴールキーパー会」があったり、野球サークルで「遊撃手の集い」があるのか知らないが、まあそういう感じのものだ。最年長の方は還暦を超えていて、現役もいる。半世紀にちかい年齢差があって知らない人もたくさんいるのだが、すぐに盛り上がる。
「ザイフェルト」とか「クルスペ」とか「ティルツ」とか「新日本紀行」とか、謎の言葉が飛び交うビンゴもあって、まあ傍から見れば異様だっただろう。
それにしても、僕にとってはとても新鮮だった。何でだろう?と考えたのだけど、これほど世の中の俗事と無関係になることがずいぶん減っていたからだな、と思った。
人はそれぞれ、どんな世界にいるのか?勤め人であれば、平日は会社を中心に生活が回るだろう。もちろん家庭もあり、週末には趣味の集まりもあったりして、大概は複数の集団に帰属しながらバランスをとっている。
ただ、一方で何となく「メディアを通じて浸かっている自分なりの世界」というのがあって、SNSを日常的に使うようになってから、その影響が強くなったと思う。
僕の場合だと、マーケティングやメディアあるいはキャリアに関する仕事をしているので、SNSでもそれに関連した情報を発信する人が多く、やり取りもされる。だから昨年の後半は、電通やDeNAの事件に関することがことさらに増幅されてくる。米国大統領選をめぐる情報戦の話題も多い。
ネットというのは、個別にチューニングされたイコライザーのようなもので、特定のニュースや話題がどうしても分厚くなっていく。だから、「メディアのこれから」というのは、僕の日常ではとても大切な問題で、世間もそう感じているように思っていた。 >> 謎のホルン会と、メディアの人面瘡について。の続きを読む