1ヶ月以上も徒歩圏で生活していて思ったのは、「わざわざ出かける理由」って意外とないんだな、ということだ。
もし「どこ行ってもいいよ」と言われたら、旅には行きたいし、友人には会いたいけど、それ以外はどうだろう。打ち合わせはオンラインでいいし、飲食店にしても過密なところは気が引けるし、マスクしながら観客席に座るのも、どうなのかなあ。つまり、いろいろ自分で選別しながら「新しい日常」が始まるんだろう。
「元には戻らない」とか「New Normal」と言われるけど、戻りたい世界もあれば、そうじゃない世界もある。
で、「もう戻りたくない日常」っていうのもあって、その代表が通勤ラッシュだろうってことは、しばらく経験してなくても想像がつく。
仮に行動制限が解けたとしても、リモート継続の企業はあるだろうし、就業ルールも見直されるだろう。出張よりもオンライン会議となり、多人数の宴会は制限されると思う。交際費課税特例も廃止になり、煙草も吸えず、個室使用は危なっかしい。
そう考えると、「サラリーマンの行動依存ビジネス」は軒並み曲がり角を迎えて、今後も元のようにはならないかもしれない。
・動く=運輸交通
「リモート可」が採用の差別化になれば、どこも競って脱通勤となるだろう。それに、出張を伴う会議は経費見直しの中で特にオンラインになる。管理職が月1回本社に集まるような会議は減るだろうし、収益構造が大変化すると思う。
・食べる=飲食
既に居酒屋業態は数年間低下傾向だったけど、決定的な転機になるだろう。企業の宴会自粛ムードは続きそうだし、密空間がこれだけ忌避されると、席間を詰めて低単価で人を集めていたような店は厳しい。ゆったりさせれば単価を上げざるを得ないけれど、当面所得は上がらないから客は動きにくい。個人客中心の店舗以外は、根本的に変わるのではないかな。
・住む=不動産
都心部を中心に飲食店が退去するだろうし、そもそも「中心部には人が来て働く」ことを前提に土地の価値が決められていたのが大きく変わる。リモートが進むからといって、いきなり郊外に住むわけではないだろうけど、相当なインパクトになるだろう。
・着る=アパレル
ただでさえカジュアル化で単価が低下している時にこの騒動でもちろん厳しい。オンラインミーティングだからトップスだけ売れる、というのも一過的だろうし。
もともと、会社員って「密」な空間で朝から夜まで暮らしてきたわけで、そうした会社員の行動がいろんな産業を支えてきたんだと改めて思う。
ただし、働く人の可処分時間はむしろ増加する可能性もあり、それがデジタル空間に流れるのか、他の可能性があるのか?というあたりが次の論点になっていくのだろう。