2018年12月アーカイブ
やっと、5月。なんか年内に書ききれない感じになってきた。
この月はいろいろと面白い本があって、まずはバーナデット・マーフィー『ゴッホの耳』(早川書房)は、あの画家の「耳」がどのように削ぎ落されたのか?という謎に挑む。いや、これはミステリアスであり、かつ調べていくプロセスも面白く、しかもゴッホという画家の本質にも迫っていく。今年読んだ中でも、もっとも読みごたえがあった本の1つ。
海外のノンフィクションで、スティーブン・ジョンソン『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語』(朝日新聞出版)は、『世界をつくった6つの革命の物語』の続編だけれど、これは2冊とも読むのがお薦め。楽器のキーボードと、いま使っているパソコンなどのキーボードの関係とか読むと、音楽というものがいかに技術発達と不可分な関係にあるかよくわかって、その辺が美術とはちょっと違うんだなと感じたり。
日本の小説では古処誠二『いくさの底』(KADOKAWA)が、ちょっと意表を突いた設定で最後まで読ませるミステリー。第二次大戦のビルマの村における日本軍の中で起きる事件なのだけれど、これがある種の密室ミステリーにもなっている。雰囲気も含めて面白かった。 >> 【2018年の本から/5月】やっぱり『ゴッホの耳』は傑作だと思う。の続きを読む