なんか身の回りで、転職とか独立とか、いろいろとすごい。6月30日付けだけでいろいろあった。個人的な観察からの話なので、もちろんちゃんとしたデータじゃないんだけど、他の人に聞いても「結構動いている」という。
6月末というのは、賞与も出て、株主総会も一段落して人事・組織が動く会社もあるので、毎年人が動くけど、いよいよ「人材流動化」から「人材大戦争」になった気がする。
つまり、人が動く、というよりも企業側の危機感がものすごく高まっているんだろう。
僕の周辺だから、メディアや広告周りはたしかに多いんだけど、それだけじゃない。年齢幅も相当広くて、還暦の人も思い切って動く。
むしろ、「今どき人が動いてない会社はまずいんじゃないか?」と感じるくらいだ。
背景には人手不足とかいろいろあるんだろうけど、ちょっと違った視点で感じたことを書いておきたい。
■ 若い会社が「分厚く」なって、かつてのベンチャーが硬直してきた
ここ10年くらいに創業した会社でも、広く人を受け入れる「厚み」のようなものを感じる。だから若い人だけではなく、ある程度キャリアを重ねた人でもそうした会社に転じる。
ベンチャーとか外資とか、そういう認知スキーマすら気がついたらなくなっている感じだ。
一方で、「メガベンチャー」のように千人単位の社員がいる企業からの流出も目立つ。もはや若い会社ではなく、気がついたら「普通のオーナー企業」で経営者とその周囲が硬直化していれば、若い人にとっては「上がつかえてる」感じだし、むしろ財閥系のほうがオープンに見えることもあるみたいだ。
■ 「働き方改革」で会社の“底”が見えた
最近どの会社でも改革は進んでいるようだけど、かえってその施策で「なあんだ、こんなものか」という見切りをつけられている感じもある。改革といっても、強制的な時間制限や、ややこしいルールを入れるだけなら、退化に見えるんだろう。
これもまた、企業の規模や歴史とはあまり関係ない。改革の中身を見て、社員から「ダメ出し」されているのに企業が気づいてないんだろう。
ちなみに『上司の「2次会行こう」はダメ』とかいうどこかのテレビ局は、それこそ「ダメ」な方だと思うけど。
■ 家庭内財務が好転してきた
まあ、端的にいえば共働き総合職も増えて、どちらかがリスクをとって動くことができるのも効いていると思う。いわゆる「嫁ブロック」がないのだ。この傾向は今後も続くだろうから、会社で働くことの感覚はどんどん変わるはずだ。
また、共働きでなくてもここ数年の株式上昇などで「財務基盤」が良化している家庭もあって、これはミドル以上の動きにもつながっていると思う。
で、こういう時代の最悪手は「闇雲に人を獲る」ってことだと思う。人が辞めたら、改めて業務を見直して少ない人数で生産効率を上げることに注力した方がいいのではないか。やたらと「人がいない」という会社ほど、仕事のやり方が昔のまんまだったりする。
また育成をきちんとしてないから、能力が上がらないのに、人を増やしている会社も多い。
『ウォー・フォー・タレント ― 人材育成競争』の日本語訳が出たのが、いま見てみると2002年で、当時僕は会社員だったけど訳出に関わったコンサルタントといろいろ話したことを思い出す。
そして気がつくと、当時の想定を超えた「戦争」になっていると感じるのだ。