さて、「おっさん」はどうなるのか?
(2018年6月26日)

カテゴリ:キャリアのことも

NEWSPICKSが広告を出していて、「さよなら、おっさん」というキャッチコピーは、まあ、キャッチーだ。「おっさん」というのは、「この国の凝り固まった価値観やルール」と書かれているけれど、まあ実際には一定年齢以上の男性だろう。

やっぱり、おっさんはおっさんだ。

実際に、おっさんは多い。これは総務省の人口推計に出ている2017年10月1日の人口ピラミッドだけれど、40代後半が最大勢力だ。第1次ベビーブーマーも、まだ相当に多いが70歳を過ぎると絶対数はジワジワ減っている。

ただ、それはまあ以前からわかっていたことだけど、僕は別のことに興味がある。

「おっさん」は、「おじさん」が口語化したというか、促音便というか、それはまあいい。

では、女性で「おっさん」に当たる言葉は何か?「おばはん」かもしれないけど、ちょっと違う。そもそも、「おばさん」だって、昔は揶揄されていたではないか。

あ、そうだ。気がつかないうちに「おばさん」は着実に減っている。

かつての「おばさん」は、立派な体型と、タフな神経で日本を席巻していた気がする。福袋の前では、ラグビーのフォワード並みの突進力を見せ、連休の高速道路のサービスエリアでは男性トイレに侵入する。

もちろん、今でもそういう人はいるのかもしれない。でも、記号としてのおばさんはとても弱くなった。そうだ、かつてのユニクロのCMで「返品可能」をアピールするのに、すごいおばさんが出てきた。いまでもこんな動画が出てくる。20年以上前のようだが、あの頃は記号としての「おばさん」は十分健在だった。

なぜ変わったのかといえば、やはり女性の社会進出が進んだからだろう。記号としてのおばさんは、専業主婦だった。もっとも、パートタイマーなどで働いていた人はいただろうけれど、ビジネスの世界とは無縁のところで「おばさんの王国」は出来上がっていた。

ところが、気づいてみたら女性は変わった。

ビジネスの世界に生きる女性は、あまり「おっさん化」していないように見える。いや、実際にはそうなっている可能性はあるのだが、ことは記号の話だ。「凝り固まった価値観」の女性よりも、「旧弊を打破する」女性の方が目立ちやすい。

さて、それでは「おっさん」はこれからどうなっていくのか。「さよなら」と言われたところで、そもそも誰と別れればいいのかもきっとわかっていない。

そして、「おっさん」で改めて検索すると驚く。本日現在、そこに出てくるものはテレビ朝日の「おっさんずラブ」に絡んだものがド~ンと上位を占めて、その合間に「長友・本田・吉田」などサッカー日本代表に関するものが混ざる。

NEWSPICKSの広告も一番上に出て来たけど、おっさんは別の世界で生き延びていくのかもしれない。

あのドラマにしても、吉田鋼太郎はともかく田中圭に、林遣都まで絡んでいるけど「おっさん」だ。

そうか、これからは30代になったら「オレ、おっさんだからわからんわ」とか言い出す男が増えてくるかもしれない。

「おっさん」を糾弾するほど、「おっさん」に逃げればラク、ということになるわけだ。

「おっさん」はかつての「おばさん」のようにしたたかに生き残りを図るのではないか。そうなると、おっさんとの戦いは、相当大変なことになるんじゃないかという気もする。