ジョーン・C・ウィリアムズ著/山田美明・井上大剛(訳)『アメリカを動かす「ホワイト・ワーきんぐ・クラス」という人々』(集英社)
考えてみれば「あの」大統領選挙から、ちょうど1年になる。
トランプの選出に驚いたメディアは、その「支持者」がどのよう人かに注目した。「ラストベルト(rust belt)のように耳慣れない言葉が飛び交い、それは「不満を持つ白人」としてレッドネック(redneck)のような表現とともに耳にはするものの、その実情はどのようなものなのか?
報道は多かったものの、その心理のインサイトや背景に迫ったものはなく、いかに表層的だったのか。つまり、彼らの心情については実は何一つ理解していなかったのではないか?
この本を読んで、改めてそう思った。著者はカリフォルニア大学の教授だが、表層的なジャーナリズムと、本物のアカデミズムの差を実感する。
ただし、この本はとても読みやすい。しかし、深い。著者の視点はニュートラルで、本当に米国の未来を深く考えていることに感動する。
そして、ワーキングクラスをめぐる課題は、米国だけのことではないわけで、どの国においても「自分事」となるだろう。
「なぜ、ワーキング・クラスは専門職に反感を抱き、富裕層を高く評価するのか?」
このタイトルの章では、こう書かれる。 >> 「トランプ支持者」でわかった気になってはいけない。『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々【書評】の続きを読む