2017年10月アーカイブ

今年のノーベル賞は個人的に、ちょっと嬉しい。

それは、早川書房が潤うのではないかという期待からだ。カズオ・イシグロが好きであるとかそういうわけではない。ミステリ好きとして、早川が潤うのはありがたいのだ。

既に相当の話題になった文学賞だが、ふと気がつくと翌朝には「日本生まれで3人目の受賞」という見出しのメディアもあった。なんだ、これは。琴奨菊が優勝した時もそんなことがあったと思うんだけど、よく覚えてない。

まあそれはともかく、カズオ・イシグロ氏の作品はことごとく早川だ。そりゃ売れるだろう。

で、そういえば最近、早川はビジネスでもいい本を出しているんだよな、という話をしていたら、ノーベル経済学賞はリチャード・セイラー氏に決まる。『行動経済学の逆襲』も早川だ。心理学者でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カールマンの『ファスト&スロー』はマーケティングを生業とする者にとっては必読書のようになっているけど、こちらおなじく早川書房で文庫になっている。

そして、僕は気づいてなかったのだけれど、『重力波は歌う』という本も物理学賞の受賞者に取材した本だという。

早川の主力は、翻訳物のミステリとSFだ。東京創元社と並んで、好きな人にとってはとてもありがたい出版社である。

しかし、小説を取り巻く状況は厳しい。人口構成を見ても、もはや「日本語市場」が成立するか?というとこれはどんどん難しくなるだろう。日本人が日本語の訳で、世界中の本をそれなりに読めていたのは「人口ボーナス」があったからだ。
日本語は日本人以外は殆ど使わないので、どう考えても今後は大変だ。というか、既に海外で話題になった本の訳が、結構遅くなるケースが出ている。これは、文学でもビジネスでも学術でも、ジワジワと来ているのだ。 >> やっぱり『謎解き』とくれば早川書房なのだ。の続きを読む