なんか、時間が経ってからコンサートのことを書くのも間が抜けているのだけれど、10月14日の新国立劇場「神々の黄昏」は、引っかかる公演だった。
歌手陣は総じて堅調だったのだけれど、オーケストラが乱調だった。というか、ホルンがブッ飛んでた。舞台裏のいわゆる「ジークフリートの角笛」のソロが、音を外しまくっていて、それも並の外し方ではない。
一幕でもひどく休憩時間に友人と呆れていたのだが、三幕でも相変わらずだった。
あれは、たしかに難しいし、重箱の隅を突っつくようなことは野暮だとは思う。
でも、あの動機は楽曲の核だ。重箱の真ん中にある料理が腐っているような話じゃないか。高音域が怪しいのはまだわかるけど、FからCへの跳躍ができないというのは、どうしたんだろう。
本来のホルン奏者が舞台裏で拉致されて、どこかの高校生が吹いているんじゃないか?とかそんな妄想が広がってしまう。
オーケストラは読売日本交響楽団で、東京では「安定したオケ」というイメージがある。
それだけに、何が起きたのかよくわからないまま演奏は終わってしまった。この日の読響はホルンだけではなく、アンサンブルが不安定だった。
音程やリズムも不揃いで、明らかにずれていることも多い。2年ほど前に聴いたシベリウスのコンサートを思い出すと、この不調は謎だ。 >> 日本のオーケストラはうまくなったのか?の続きを読む
それは、早川書房が潤うのではないかという期待からだ。カズオ・イシグロが好きであるとかそういうわけではない。ミステリ好きとして、早川が潤うのはありがたいのだ。
既に相当の話題になった文学賞だが、ふと気がつくと翌朝には「日本生まれで3人目の受賞」という見出しのメディアもあった。なんだ、これは。琴奨菊が優勝した時もそんなことがあったと思うんだけど、よく覚えてない。
まあそれはともかく、カズオ・イシグロ氏の作品はことごとく早川だ。そりゃ売れるだろう。
で、そういえば最近、早川はビジネスでもいい本を出しているんだよな、という話をしていたら、ノーベル経済学賞はリチャード・セイラー氏に決まる。『行動経済学の逆襲』も早川だ。心理学者でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カールマンの『ファスト&スロー』はマーケティングを生業とする者にとっては必読書のようになっているけど、こちらおなじく早川書房で文庫になっている。
そして、僕は気づいてなかったのだけれど、『重力波は歌う』という本も物理学賞の受賞者に取材した本だという。
早川の主力は、翻訳物のミステリとSFだ。東京創元社と並んで、好きな人にとってはとてもありがたい出版社である。
しかし、小説を取り巻く状況は厳しい。人口構成を見ても、もはや「日本語市場」が成立するか?というとこれはどんどん難しくなるだろう。日本人が日本語の訳で、世界中の本をそれなりに読めていたのは「人口ボーナス」があったからだ。
日本語は日本人以外は殆ど使わないので、どう考えても今後は大変だ。というか、既に海外で話題になった本の訳が、結構遅くなるケースが出ている。これは、文学でもビジネスでも学術でも、ジワジワと来ているのだ。 >> やっぱり『謎解き』とくれば早川書房なのだ。の続きを読む