2017年06月アーカイブ

【読んだ本】鹿島茂『神田神保町書肆街考』(筑摩書房)

大学を卒業して入った会社の本社は神保町にあった。住所表記は神田錦町だが、ざっくりと神保町エリアだ。1ヶ月半の研修の後に丸の内で働くことになり、その後はしばらく疎遠だったが30歳の頃に神保町のオフィスの部署に異動した。

それから3年近くは、神保町勤めだったが、最高の環境だった。仕事が研究開発だったので書店に行くのは「仕事」だ。毎日のようにウロウロして、喫茶店に行ってた。そのうち、さすがに忙しくなってきたが、それでも自分のペースで働いていた。

この本は明治以降の、神保町の「書肆街」ができていく過程を追っているのだが、街の成り立ちを通じて、日本の知的文化の形成を追っている本でもある。

だから書肆街の話にならず、わき道にそれるのだがそれがまた面白い。東京大学の前身、開成学校から、明治、法政、中央、専修などが創立される過程にある種の必然性があることがわかり、またそうした学校と古書店街との縁もよくわかる。 >> 古書店街に未来はあるのか『神田神保町書肆街考』【書評】の続きを読む