会社勤めでないこともあり、師走から正月にかけての暮らし方は結構変わっているかもしれない。
まず忘年会が全くないので、昨年だと12月9日からは夜の外食予定がない。で、妻はクリスマス前が誕生日で、レストランのメニューなどもいつもと違って落ち着かないので、最近は国内の短い旅に出ている。
そして、僕の誕生日は年初から一週間ちょっとなのだが、今さらお祝いも面倒なのでやっぱり旅に出るようになった。
つまり、12月のクリスマス前と年初間もなくに、夫婦それぞれが「行きたいところに行く」というわけだ。
年末年始の繁忙期を外しているので、空いていて価格も普通なので、すっかり定着してしまった。そして、寒いのにわざわざ寒い所に行く。そして、好きな乗り物に乗る。
グランクラスで八甲田まで行ったり、身延線を全線乗ったりしたこともある。
昨年12月は、湯沢の先の温泉に行った。
ただ、新幹線だと早過ぎる。そして、この季節に越後へ向かうとなれば、あの劇的な風景が見られる。
川端康成の『雪国』の冒頭のシーンだ。「国境の長いトンネルを抜けると」という体験をしてみようとすると、各駅停車で向かうことになる。
最初は、まったく新幹線を使わずに行こうかと思ったが、それもしんどいので、半端ではあるが高崎まで新幹線に乗り、弁当などを購入。そこから各駅停車に乗り換えた。
橙と緑のいわゆる「湘南色」の塗装で、この型式(115系)も徐々になくなっていくらしい。社内の座席は新しいものに替わっていて、座り心地はいい。
客のほとんどは下校する高校生だ。弁当を食べている客は、珍しいのだろう。
1時間あまりで水上で乗り換えるのだが、ここからは新
しい型式(E129系)の電車になって、間もなく清水トンネルへ入っていく。
在来線に乗るのは、30年ぶりくらいだろうか。昔の記憶ではとても長いトンネルというイメージだったけれど、想像以上にスムーズでグングンと進んでいく。あっけないほどに、「雪国」に出た。
湯沢の少し先の無人駅で降りて、迎えの車で温泉に。今冬の雪はスキーなどには足りないようだけど、眺めとしては十分だった。
この国境の各駅停車はJR東日本の「上越線」だ。上越新幹線は旧国鉄時代に完成しているので、並行する路線は第3セクターではない。そんなことを調べているうちに思い出したんだけど、この「鉄道ひとつばなし」は、それほどマニアじゃないけど鉄道が気になる人にはお勧めできるかも。レビューの中で噛みついている人のコメントを見るとおもしろい。