ブルックナーという作曲家がいて、結構人を選ぶ。好きな人は好きだが、嫌いな人にとっては退屈だろう。
僕はそれほど好きではない、と書いてみたものの昨年もわざわざバレンボイムを聴きに行っている。まあ、なんというかある時に無性に聞きたくなったりはするのだ。
ただ、本当に熱心なファンではないのだろうなと思う。というのも、好きなディスクはカラヤンとかショルティだ。「本当の愛好家」は、ヴァントや朝比奈隆を好むらしい。
あと、熱心なファンが好む「9番」が今ひとつ苦手だ。
で、その理由はわかっている。たしか、高校が大学の頃に映画館で見た、とある映画の「予告編」に第2楽章のスケルツォが使用されていたのだ。
このスケルツォは、ブルックナーの中でも妙に暴力的なところがある。7番のようにグルグルと空が回るような「天の音楽」の感覚は大好きなんだけど、これは「地の音楽だ」。それが3拍子だから、3本足の怪物がドタバタしているような感覚になる。
そして、その映画は日本映画だった。ただ覚えているのは「琵琶湖で女がマラソンをしてる」ような話だったと思う。何か、走る女のバックにブルックナーが響くのだ。
あの頃はそれなりに映画を見ていたので、この予告編も複数回見たのかもしれない。そして、本編は見ていないのだが、何だか「イヤーな感じ」の印象がある。それ以来、ブルックナーの9番はどうも苦手なのだ。
しかし、そんな僕の記憶は本当に正しいのだろうか? >> 伝説の謎の映画「幻の湖」とブルックナー。の続きを読む