【2016読んだ本から】①なんとなく歴史系
(2016年12月26日)

カテゴリ:読んでみた

815u1fpjtflもう今年もわずかになったので、何か回顧系の話にしようかと思い、読んだ本を振り返ってみようかと思う。感想を書いた本も含めて、ザックリと見ていこう。まずは、歴史関連から。

ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』以来、世界史をザックリと振り返る本がいろいろと出ている。僕も今年の3月にそうしたジャンルばかりを3回にわたって取り上げた。リンク先は.

この流れにつらなるのが「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ/河出書房新社)だろうか。帯に、ダイヤモンドの推薦コメントがある辺りが、「ああ、この流れだな」と感じさせてくれる。

人類学的な視点で「認知革命」「農業革命」を経て「科学革命」へという道のりを振り返りつつ、貨幣という“究極の虚構”に焦点を当てていく。

著者はイスラエルの研究者だが、欧米の歴史研究は「なぜ歴史は動いたのか」という根本に迫っている、この辺り日本とは、もう研究の土台からして別物なんだろう。

ただし、さすがに既視感もあるし、少なくてもダイヤモンドなどの先行研究を読んでおいた方がいいだろう。

ユニークな視点で面白かったのは、「世界をつくった6つの革命物語」(スティーブ・ジョンソン/朝日新聞出版)で、これは視点が秀逸だった。6つの「発明」に焦点を当てて、それが人類に与えた影響を見ていくのだが、選び方がいい。いきなり「ガラス」から始まり「冷たさ」「音」「清潔」、さらに「時間」「光」と続いていく。

原初からの人類の悩みや欲求に始まり、産業革命の影響、さらには現代のマーケティングまでをこうしたキーワードで一気に読み解こうという試みだ。「ニーズとは何か?」と言う問い、テクノロジーの進歩が交叉するところに変曲点があることがよくわかる。

「AIのこれから」のような乱立している未来本よりも、よっぽどヒントが多いんじゃないかな。

歴史、という中ではちょっと特殊な領域だが、今年は冷戦期のスパイ戦に関する本が相次いだ。

『レーニン対イギリス秘密情報部』(ジャイルズ・ミルトン/原書房)は、ロシア革命下における英国諜報部の活動を描いたもの。8月に感想を書いているが、マクロな世界史の動きと、ミクロなスパイ活動が上手に描かれている。
一方『最高機密エージェント: CIAモスクワ諜報戦』(デイヴィッド・E・ホフマン/原書房)は、戦後冷戦期を舞台にしたモスクワにおけるCIAの活動を描いている。好きな人にとってはたまらないレポートだが、歴史を俯瞰するというよりもミクロな面に焦点を当てている感じだ。

そういえば、新刊ではなかったけど紹介して反響が大きかったのが『嫉妬の世界史』(山内昌之/新潮新書)で、出版されたばかりの『知られざる皇室外交』(西川恵/角川新書)こちらに紹介したが日本の現代外交史を新しい側面から浮き彫りにしてくれる。
というわけで、今日はこのくらいまで。