「クリスマスにシュトーレン」って、いまの日本らしい流行りだなあ。
(2016年12月13日)

カテゴリ:マーケティング

シュトーレンが、流行っている。いつから、というわけでもないが気がついたら、クリスマスの新しい定番になっている感じだ。

ドイツのクリスマス、というのは「クリスマス・マーケット」のイメージなんだろうけど、六本木ヒルズで結構前からやっていたように思う。調べてみたら、今年が10周年らしい。

それだけが理由じゃないだろうけれど、シュトーレンが流行るのは、いまの日本のクリスマスを映している気がする。

そもそも、日本におけるクリスマスを真面目に論じることをはあんまり意味がないと思う。最近のハロウィンもそうだけど、「欧米では」と言っても仕方ない。ケンタッキーに行列は「変だ」と言う人もいるけど、日本は海外の祭りを飲み込むことについては相当達者なんだろう。

それにしてもシュトーレンは、いまの日本らしいなあと思う。クリスマスケーキと言えば、イチゴの乗ったホールケーキが定番だったし、今でもそうなんだろうけど、基本的には子どもが喜ぶものだ。

少子高齢化で、世帯人数が減って、ああいう生菓子を一気に食べるのは大変になった。別に統計はないかもしれないけど、長期的にみれば減っているのだろう。

一方で、シュトーレンはまったく違う。クリスマスまでの間に食べるものだ。日持ちがするし、少しずつ食べていけばいい。1人暮らしでも楽しむことができる。

大概はラム酒を使っているので、いわゆる「大人の味わい」だ。華やかさよりは、滋味を楽しむケーキだと思う。

ただ、シュトーレンはキリスト教と密接に結びついている。アドベントという、クリスマスまでの約4週間ほどの間に食べていくという習慣の菓子だ。

アドベントは待降節などと言われるが、教会に通っていればこの期間が特別なものであることがすぐに感じられる。アドベントの始まりは日曜日になるので、その日の礼拝から「クリスマスを待ち望む」気分が段々と高まっていくのだ。

イースターの前に「灰の水曜日」から始まる四旬節と似たような感じだろうか。

というような背景はともかく、日本のシュトーレンはまた独自の定着をしていくんだろう。子どもが成長してクリスマスに家にいなくなる頃から、夫婦でシュトーレンをいただく。それはそれでいいような感じもする。

クリスマスは冬至に重なる。寒いドイツの冬の習慣だからこそ、シュトーレンには不思議な暖かみがあるのかもしれない。