僕は大学では非常勤なのだけれど、就職についての相談はよく受けるし、それなりに手伝いもできてきたと思ってる。
やっぱり広告やメディア業界を希望する学生が多く、時には講義をとってない学生が、人伝に聞いて、途中から聴講に来たりもする。
最近だと、最初から「デジタル」に絞り込んでいる学生も多い。内定後もプログラミングの本を抱えていて、聞けば独学で学んでいるというのもいた。
いわゆる「文系学部」にとって、「何かを創り出せる」仕事には他にはない魅力がある。僕も就活ではそんなことを言っていたような気もするし。
だから、メディア・広告の世界に行きたい学生は、できるだけ応援するし「おもしろいよ!」と言っていたんだけど、ここに来てちょっと困ってる。
電通はデジタル不正と過労死の問題が、相次いで起きた。講義ではタイムリーな話題も取り上げるようにしていて、先日はDeNAのWELQの件も話したのだが、何かメディアや広告界隈って「残念な仕事」に見えてしまわないだろうか。
この時は、まだ一部のネットメディアのニュースだったが「こういうのが起きて一番よくないのは、公的規制につながるパターンなんだよ」と言っていたけど、なんか色々と動きが出てきた。
伝統ある大手から、若い企業まで含めていろんなニュースが出てくると「どんな人が集まってるんだ」と思うだろう。
それでも、学生はいろいろと自分で情報を集めて動くし、意外と冷静だ。
その一方で、結構大変なのが家族、ということになる。最近よく聞くと思うけれど、就職先について、親があれこれと意見をいうケースは多い。学生よりもニュースの表面しか見ない上に、自分の方が世の中を知っていると思い込んでいる。
時々、もっと面倒なことがあって「あの会社に大学の同期がいるから聞いてやろう」と言う親もいるのだが、わざわざ連絡するとその同期が「うちは止めておけ」言い出すということもあった。
これは、とある大手メディア関連企業の話だったのだが、僕が相談を受けてちょっと調べると「止めておけ」と言った人は、最近不遇をかこっているらしい。そりゃ、止めさせてたくなるかもしれないが、余計なお世話だ。
この時は、学生に親の説得方法を教えて、どうにかなったけど、まあいろいろとあるのだ。
もっとも不祥事自体は、いろいろな業界で起きるし、上場維持がおぼつかなくなるようなもっとすごいケースもある。
ただ、メディアや広告企業の場合は一度何か起きると、業界関係者があれこれ言い出す。そして、ネット上であることないことが一気に噴出して収拾がつかず、学生が混乱することも多い。
2年前の朝日新聞の事件も、学生に対する新聞全般のイメージダウンにつながっていると感じる。もうすぐ就活も本格化するけど、今年も売り手市場が続くとメディア業界は全体として苦戦するかもしれない。