日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が、「ネイティブ広告ハンドブック」を公開した(リンク先pdf)。全体としてはハンドブックではあるけれど、技術的な手引きにとどまらず広告の本質について、深く考察した上での構成になっている。
1章の“「ネイティブ広告」とは何か?なぜ注目されるのだろうか“という論考は、広告の本質を捉えていて、広告に携わる人や学ぶ人にとっても価値がある内容だ。
ネイティブの反対語が「エイリアン」であるとして、「広告が邪魔者・嫌われ者だったかもしれない」という議論は、いい広告を作る上で欠かせない。実は、そうした自覚があったからこそ、広告はビジネスとして発達してきたし、ときには社会全体に対してインパクトを与えるようになったのだろう。
そして人は、見るものを「これは広告だ」という了解のもとにその価値を判断する。
「何が書いてあるか」ということは、「誰が書いたのか」によってその影響力は違う。それは、日常的にもよくあることだ。
有名人の「名言」をありがたく思う人は多いけど、実は同じようなことを自分の親や学校の先生が言っていることもあるだろう。「話者」というのは、それだけでもたくさんの研究がある。
広告は、そうした前提のもとに、いわば「好かれるエイリアン」であろうとした。それが競争の大前提であり、ゲームのルールだ。今回のハンドブックは、その大切なところについて本質的な議論を提示している。
全体を通読すると、広告の未来に向けての新たな道筋が見えてくるだろう。
インターネットの登場以降、メディアの姿は大きく変わった。また多くのプレイヤーが参加するようになると、混沌とした状態になるのはやむを得ない。
それでは、なぜルールを知り、それを守ることが大切なのだろうか。
それは、本当に優れたプレイヤーは、ルールを熟知して成果を上げるからだ。
これは、あらゆる世界で共通していると思う。ルールというのは、ゲームの本質に根差している。
ラグビーなどは、初めて見ると「なぜ?」と思うような多様なルールがある。しかし、それはゲームの本質にかかわり、かつ安全を守るために決められている。そして、強いチームほど、反則は少ない。
それは、ゲームの本質を知っているからこそ、結果的に反則が少なくなるからだと思う。このことは、すべてのスポーツにおいてもそうだし、ビジネスでも同じだ。
ルールの中には「やってはいけないこと」も書いてある。しかし、よく読めば、そこには「するべきこと」が凝縮されている。
このハンドブックも、これからの広告プレイヤーが「するべきこと」が書かれている。この内容を「制約」と捉えるか、「大きな機会」と考えるか。
それが、将来のプライヤーの価値を決めるだろう。本当に誠実でタフな人たちは、もう動き出しているはずだ。