トランプが勝った、というよりも「ヒラリーが負けた」ことが気になり、それで思い出すのが9月9日の発言だ。
CNNの日本語サイトによると、“彼女は「非常にざっくりと言うと、トランプ氏の支持者の半数は私の考える嘆かわしい人々の部類に入る」と述べ、人種差別主義者、男女差別主義者、同性愛者や外国人やイスラム教徒に偏見を持つ人々だと主張した。”とある。
そして、それを「後悔した」というのが2日後のニュースだ。
この「嘆かわしい」というのは、英語だと何だったのか。同じニュースを報じるCNN英語サイトだと、’deplorables’というわけで、「悲しい」ようなニュアンスもあるようだ。
呆れかえって「ホントに、もう……」というニュアンスなのか。まあ、日本語的には「上から目線」という感じなんだろう。
「何か」あるいは「誰か」を貶す時に、直接その対象の悪口を言うのはともかく、ユーザーや支持者の悪口を言うのは基本的には禁じ手だ。
もう、まったく水準が違うんだけど今夏のポケモンGO! リリース直後に、テレビでやくみつるという人が、ユーザーを「心の底から侮蔑する」と言った。
愚かしい、と言ったそうだが、言ってる方が遥かに愚かだ。このことは、以前ブログにも書いた。
今回の選挙では、「隠れトランプ支持層」がいたというが、こういうのは選挙ではつきものだ。僕は大学時代のゼミで選挙理論と予測を学んでいたが、「隠れ支持者」の多い政党については、その率を踏まえたモデルを作る、と教わっていた。
もちろん米国でもそのくらいのことは昔から分かっていたんだろうが、その隠れ度合いが読めなかったんだろう。
つまり「嘆かわしい」と言われた人は、そういう空気を読んで深く潜行したわけで、この辺りにヒラリーの限界もあったように思う。
まあ、大統領の選出には驚きがあったものの、米国の内外で強い「復元力」のようなものが動き出している。オバマや各国首脳は素早く動き、ウォール街も次の芽を探し出した。
一方で、日本では米国の状況を「惨状」のように嘆く人が多くて、それはまあ、あちらこちらに生息している「意識の高い人」だ。
そういう人の発言や書き込みを見ていると、支持者を見下ろしているようで、まさにヒラリーが言っていることとどこか重なることもある。
ああ、でもそんなことを言っている人の方が、よっぽど「嘆かわしい」ように思うわけですが。