ポスターにもなっている「指月布袋画賛」は、誰が見ても「かわいい」と思うし、ちょっと気になる展覧会だ。
仙厓は、江戸時代の禅僧で、博多の聖福寺で住持をつとめていて、九州とは縁が深い。画は福岡市美術館、九州大学と並んで、出光美術館が多く所蔵しており今回はいわば「三大コレクション」からの出品となる。
「大」がつく展覧会なのだ。
もちろん、「かわいい」だけの展覧会ではない。風景もあれば、有名な「○△□」の抽象画も、ある。ただ、布袋や犬、猫などの描き方はたしかに「かわいい」。他の日本画でも感じるが、現代のコミックに通じるある種の潔さのようなものもある。
一方で、晩年には寺の跡を継いだ湛元が藩から処罰されて、仙厓が戻ったこともある。その頃に書かれた「不動明王」の絵などは、また異様な迫力を見せる。
しかも、亡くなる直前の作だ。ちなみに、彼は米寿まで生きた。
とはいえ、全体的にはおおらかで幸せ感が強く感じられる空気感だ。
日本画で、かつキャラクターがハッキリしているのだから、客を集める要素は揃っていると思う。
ところが、想像以上に空いている。平日の午後とはいえ、最近の日本画の展覧会は年配の方を中心に相当混んでいることが多いけれど、拍子抜けするくらいだった。
この秋は京都から巡回してきた「禅 心をかたちに」が来週18日から東京国立博物館で開かれて、これは相当混みそうだ。仙厓もその流れで注目されるだろうし、日曜美術館で紹介される前に行っておくのがいいかもしれない。