「人のせいにしてはいけない」と石橋貴明は教えてくれる。
(2016年10月5日)

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石橋貴明のインタビュー記事を読んだ。要は近々オンエアされる期首特番が「面白いはずだから見てくれ」ということなんだろうけど、「最近のテレビ」について、一家言あるようだ。

彼によると『「こうやったらまずいな」って考えちゃうような、閉塞(へいそく)感が全てにおいてテレビをつまんなくしちゃっている気がします。』ということだ。そしてこう続ける。
『僕らの子ども時代は、例えばドリフターズさんがいて、食べ物を粗末にしてるんだけど、それで「子供に見せたくない番組ワーストワン」とかになるんだけど、そんなことはみんながちゃんと(いけないことだって)分かっていてやっていたし。でも、今は、その前の時点でロックかけられちゃう、みたいなね。』

そうか、芸人のアイデアが悪いのではなく、時代の空気が問題なのか。でも、本当にそうなんだろうか。

最近のテレビのつまらなさを語る人は、よく往年のドリフを引き合いに出す。しかし、芸人は客商売で、時代に合わせて客のニーズは変わる。そして、そういうことを一番わかっていたのは、ドリフターズのメンバーだったのではないだろうか。

志村けんの動物番組は、むしろ「子供と見たい番組」の上位だろう。いかりや長介は「踊る大捜査線」で若い人の気持ちをつかんだ。

他のメンバーも「かつてのドリフ」ではやっていけないことを一番知っていると思う。だから他者がそれをを「黄金時代」と評するのはいいけど、「あの頃のドリフはすごかったのに」と同業者が言うのはどこか失礼な気もする。

ドリフターズはずっと時代と人を見ていた。それを見ていなかったのは石橋貴明なんだろうなあ。そういうことがよくわかってしまう。

石橋のインタビューではさらに気になることもあった。

「昔、現場にいたスタッフが偉くなって、こういう番組をやろうって言ってくれるのは非常にうれしいし、楽しいです。」

「そして、今、現場にいるスタッフがまた偉くなってこういう番組を続けていけば、徐々にでも種から芽が出たり、花になったり、実になるかもしれません。」

つまり、テレビは所詮有力者とのコネクションでモノを作る世界なのか。そんなことはみんなわかってる。でも、こういうことをインタビューで言うのは、身も蓋もない。

だから、このインタビューは読んでおくべきだと思う。

「人のせいにしてはいけない」

このことの大切さが身に沁みる。客商売はもちろん、すべてのビジネスパーソン、というか生きて行く上でとても大事なことじゃないか。

どんな難しい局面でも、「時代のせいにする」のは、一番簡単だからね。