広告代理店に新卒で入社して、最初の配属はクリエイティブだった。30歳の時に希望を出して、研究開発セクションに異動したのだけれど、あれは大きな分岐路だったとつくづく思う。その後、ブランドコンサルティングと人材開発の仕事をして40歳で会社をやめた。
異動の希望理由はいろいろ書いたのだけど、それ以上に大きかったのはクリエイティブがあまりに忙しかったことだ。
結婚した直後だったが、もう真っ当な生活ができない。人によって差はあるだろうが、僕としては毎日深夜になるのは耐え難かった。いまでもそうだが、早い時間から家でダラダラとメシを食うのが好きなのだ。
とはいえ、そんなことを言ってどうにかなるわけでもなく、とりあえず仕事をしているうちに異動となった。
研究開発セクションは、時間的にはそれ程過酷ではない。基本的には個人が勉強して考えたことを組み立てていくので、緊急の無茶な要請に応えることもない。ただし、圧倒的に孤独ではある。
そして、異動の直後は相当時間があって「とにかく勉強して課題を見つける」ことが求められたのだが、仕事自体はみんな早く終わる。
ほぼ定時に帰ることもできて「ああよかった」と思ったのだが、そうはいかないのが人の心理だ。
異動したセクションは、クリエイティブとは隣のブロックのビルだった。退社して地下鉄の駅まで行く途中に、以前通ってたビルの前を通る。もちろん、クリエイティブや営業の社員と顔を合わせることになるのだが、これが何だか気まずい。 >> コソコソと定時退社をしていた記憶。の続きを読む