「大丈夫」という言葉が、とても大丈夫とはいえない件について。
(2016年9月27日)

カテゴリ:世の中いろいろ

糠漬けを入れているホーローパックのパッキンが古びてきたので、注文した。

ネットで消耗品のナンバーを調べて、それを最寄りの店舗に電話で発注する。そして、入荷後に取りにいくという段取りだ。

簡単なやり取りがあって、「入荷は10月1日になります」という。はい、わかりましたでおしまいかと思ったらこう言われた。

「お電話は大丈夫ですか?」

思わず聞き返ししてしまった。僕の電話が異常なのか。いや、きっと電話を掛けるかどうかだと思うんだけど、「大丈夫ですか?」と言われてもわからない。

「おでんを食べませんか?」ではないと思うし。

で、彼の意図は「入荷のお知らせは電話しなくてもいいでしょうか?」という意味だったらしい。10月1日以降であれば開店後はいつでもありますよ、と。

「大丈夫」という言葉は、「丈夫」に「大」がついている。元の意味は「立派な男子」で、まあ、それが派生して「任せておける」みたいな意味になって、「無事」のようなニュアンスでも使う。

ただ、もう10年以上前から「OK」みたいな意味でも使う人が増えてきた。ただ、これも相当変だ。

飲食店などで「お皿、大丈夫ですか?」と言われたら、下膳してもいいか?ということで「皿が割れてませんか?」ではない。ただ、「お酒、大丈夫ですか?」となると「もう少し飲みますか?」という意味だと思う。

別に、「酔ってませんか?」という意味ではないんだけど、もう相当に適当だ。

“OK”みたいな感じだろうけど、「大丈夫です」と断る時は”No Thank You”かもしれない。

つまり、肯定か否定かは流れで読み取らなくてはいけないんだけど、これは「結構」に近いかもしれない。

「お茶いかがですか?」

「結構ですね」といえば味を誉めることになるが、「もう結構です」は「これで十分」という意味だろう。

「大丈夫」というのも、若い人中心にどんどん用途が拡散してきてこういうことになったんだろうけど、さっきの店員のような感じだと、さすがに訳が分からない。

このことをSNSに書いたら、「電話してもいいですか?」だと思った人が多かった。若い人でもそんな感じ。

ここで思ったんだけど、「大丈夫」という言葉を発するときは、実は相手のことを考えているよりも、自分の中で勝手に完結していることが多いのだろう。

だから「電話大丈夫ですか?」というのも、本人は納得している。でも、何が大丈夫かはよくわからない。

飲食店でも、まあ真っ当な店では聞かないから、そういう意味ではある種の目安になるかもしれない。

ただアルバイトの店員にとっては、「とにかく客に確認するのに便利な言葉」と言うことになるんだろう。

「2人ですけど」「大丈夫です」「このお皿シェアできますか?」「大丈夫です」

「お水大丈夫ですか?」「大丈夫です」「もうラストオーダーですか?」「大丈夫です」

まあ、どうでもいいんだけど、パーツの発注とかはネットでもできないのかな、無印良品は。