指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
2016年9月17日 東京芸術劇場大ホール
ムソルグスキー/交響詩『はげ山の一夜』(原典版「聖ヨハネ祭のはげ山の一夜」)
武満 徹/ア・ウェイ・ア・ローンⅡ(1981)
武満徹/ハウ・スロー・ザ・ウィンド(1991)
ムソルグスキー(リムスキー=コルサコフ編曲)/歌劇『ホヴァンシチナ』より第4幕第2場への間奏曲「ゴリツィン公の流刑」
ムソルグスキー(ラヴェル編曲)/組曲『展覧会の絵』
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ヤルヴィとN響の評判は相当高いのだけれど、やっと聴きにいくことができた。サントリーホールの定期演奏会と同じ曲目で、会場は池袋。東京都の主催公演のようだ。
展覧会の絵が終わって感じたのだけれど、このコンビは相当聴きごたえがある。N響の黄金時代を築く可能性があるし、在京の他のオケにとっては相当な脅威だろう。
N響は「大人のオケ」だ。だから、時によっては退屈とも言われるが、そもそもの水準は高いしレスポンスはいい。だから、適宜オケに委ねつつ、ここというところを締めるようなヤルヴィはN響の潜在能力をフルに引き出す。
また、ヤルヴィのレパートリーは広い。デュトワが来た時のように身構えた感じもなく、いろいろな曲をこなしていきそうだ。
展覧会の絵を選んだのは、ヤルヴィのオケに対する信頼の証だし、改めての「お披露目」というニュアンスもあったように感じる。だから、冒頭からソロに対しては、最低限のアクションで自由に吹かせていて、まるで協奏曲のようだった。
そして、バーバ・ヤーガからキエフの大門は、キッチリと手綱を締めてシンフォニーのように鳴らしていく。
特にN響の腕を感じたのは、カタコンベのコラール。当たり前からもしれないけれど、こんなにきちんと音程があっているオケは日本では意外と少ない。この日は、その辺りもしっかりしているので、終曲のクライマックスも自然な音のままでガンガン響く。
武満の2作品のなかでは、「ア・ウェイ・ア・ローンⅡ」で響く弦の呼吸が自然で素晴らしい。たまにディスクで聞くが四重奏版なので、ことに響きのふくよかさが印象的だ。
「はげ山の一夜」は最近原典の演奏が多い。20年以上前にアバドとベルリン・フィルが来日公演でやった時には、結構話題になったと思う。
ヤルヴィは、3年前にパリ管との来日公演を聴いていた。その時は「律儀」という印象で、個人的には乗り切れなかったんだけど、今回の印象は全然異なる。
そういえば、改装後の東京芸術劇場の音響はとてもよくなったと思う。今回のムソルグスキー=ラヴェルのような作品だと、サントリーよりもいい意味での堅さがプラスに出ているんじゃないかな。
この日は、少し空席があったわけだから、その気になれば土曜の午後に「ふらりと」この素晴らしいコンサートに来られたわけだ。そんな街は、世界にそうそうないだろう。
外に出ると、ポケモンGO!のプレイヤーでいっぱいだった。