日本の会社と、中高生部活の良すぎる相性。
(2016年9月6日)

カテゴリ:キャリアのことも

今年の夏は、「ポケモン・五輪・ゴジラ」の三大噺のような感じだった。高校野球は興味ないんだけど、「吹奏楽部がコンクールに出ないで甲子園に」というトピックもあった。

世間のニュースとは別に、中高生にとっては部活は一大事なんだろう。

最近は部活が結構大変そうだなと、という印象がある。知り合いなどの話を聞いても、親の関与も多くて、結構な負担になることもあるようだ。

教師側の負担も大変だという話もあるが、全体として「強制化」しているのでは?というこの記事などを読むとその背景もわかる。

最近の大学生のエントリーシートを見ると、「頑張ったこと」に中高までの部活を挙げてくることが多い。大学時代のサークル体験だと「差別化」できないということかもしれないが、高校までに燃え尽きていて、大学はもっと緩いことを求めている傾向もある。

そして、部活というのは、会社と相性がいい。だから、エントリーシートのロジックにあっているように感じる。

まず「達成感が得られやすい」ということがある。その部活の成績がどうかというよりも、一所懸命に仲間と頑張った達成感が得られる。そして、多くの会社案内もそうした社員の姿を前面に出している。

そして、基本的には「上意下達の世界」だということも、わかりやすい。体育会を歓迎する会社はそれなりに多く、その理由も学生たちは察している。だから、部活の話をすれば、「通りがいい」と思うのだろう。

そして、彼らがしたことは「ちょっとした工夫」だ。OBや先生などの指導者に逆らって、体制をひっくり返したエピソードなどはない。部員が脱落しないように練習方法を変えたり、声掛けをしましたという話になる。

まあ、これは大学時代の話でもそうだけど、「カイゼン」に通じることで伝統的に日本企業は良しとするのだろう。

部活と会社の「相性」をわかっているから、保護者も部活をいいモノだと思う。「勉強の妨げ」という発想は相当昔のことで、特に受験のない付属校などではますます力を入れるのだろう。

ただし、ちょっと意地悪なことも考える。もしかしたら、思い切りユニークな人材は、その部活の外にいるのではないか。「帰宅部歓迎」の採用活動をしたら、意外と面白いことになるのか、それとも収拾がつかないのか。

ただし、部活の必修化というのが、将来の人材に影響していくというのは、あながち大袈裟な話でもないと思っている。

「上から言われたことを頑張って、カイゼンしたことの達成感」だけじゃ限界が来ていることは明らかなんだしね。