リオデジャネイロ・オリンピックの閉会式での、日本のプレゼンテーションにはいろいろと驚いたり感心したりした。ハイライトで首相が登場したことについては、まあ、もともと彼を嫌ったり「許せない」人にとっては否定的だろうから、まあそういう方には「日刊ゲンダイ」でもご覧いただくとして、ちょっと別の角度で見てみたい。
一言でいうと、「首相や大統領があのパフォーマンスができる国」っていうのは、そうそうないことに気づく。
つまり、国内からというより、世界の国から見ると、日本の強みが見えたと思うんだよね。
- 安全で平和な国じゃなきゃ、あれはできない
国内が乱れていたり、ましてや交戦中の国では、首相がああいう振る舞いをするわけにはいかない。今回も、突発的事態があれば日本を離れられない可能性もあったわけで、きっと「プランB」があっただろう。
たとえば、フランスのオランド大統領を見るのは、テロの後の記者会見の悲痛な表情の時が印象的だ。リーダーの姿は、国への印象を左右する。
- トップはいい意味で「軽い」方がいい
米国大統領をはじめ、西洋先進国の首脳はみんなユーモアのセンスと軽妙さを感じるけど、東洋はどちらかというと堅い。また、プーチンなんかは、笑っていいのか怖がればいいのか、ちょっと困るようなところもある。ましてや、軍事力を背景にこわもて外交をやってる国の首脳などは相対的にマイナスに見えるだろうな。
- 「ソフト・パワー」の国だから、できる
考えてみると、世界の国で「首脳がコスプレ」するほどの知名度があるキャラクターは、そうそうない。アメリカの大ネズミくらいじゃないかな。まあ、オバマだったら仮にやってもおかしくないと思うけど。
つまり、首相登場の背景を見ると、相対的に見た日本の強みが浮かびあがってくるように思う。
全体の企画演出が「日本らしさ」を狙っていたのはもちろんだけど、こうやって見ていくと首相を「起用」できる国は少ないと思うんだよね。領土や歴史問題で日本に対して好意をもっていない一部の国の人は不満を持つかもしれないが、広い目で見た外交戦略としては、プラスだと思う。
ちなみに、首相登場だけでなく、全体の企画に対するSNSなどの声を見ると、自分の周りにいる企画畑の友人が皆これほど絶賛していたけど、初めてだと思う。プロはプランニングする人への敬意をしっかり持っているんだなと再確認した。