ネットと都民をなめてはいけない理由。
(2016年7月19日)

カテゴリ:世の中いろいろ
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電車に乗っていたら、若い男女が都知事選の話をしていた。

2人とも都知事選に投票するのは初めてのようで、女性はあまり知識がないようだった。大阪の住民投票とは違うのか?みたいなことも言っていて男性が説明するのだが、途中からスマホで調べ始める。段々と話はそれなりに盛り上がっていくわけで、「ものごとを知る過程」を生で見たのは面白かった。

今回の選挙戦は、過去に比べて相当な激戦になりそうだ。保守系分裂が最大の理由だが、こういう場合は党の推した候補が苦杯を舐めることが多い。そして過去を振り返ると、石原信雄や明石康という官僚出身者も、磯村尚徳というニュースキャスターも敗れている。

この辺り、今回はどうなるのか。いずれにせよ、日本の選挙の中でも、相当特異だと思う。

そして、東京都民の特徴として「ネット好き」ということがあって、これが今回の結果に相当影響すると僕は思う。

ヤフーが今春に発表した調査が話題になった。

「日本は2つの国からできている」というタイトルで、検索における東京の特異性を明らかにしたのだ。

クルマよりもタクシーに関する検索が多く、「中学受験」や「フィンテック」に関する検索もやたらと多い。

それはなるほど、と思うのだけれど、個人的に驚いたのはそもそもの検索回数だ。都道府県別に人口当たりの検索数を見るとダントツに多い。東京を100とした指数で、次点の大阪は2/3にも満たない。隣の神奈川は半分程度である。

先の電車の中で見た若い男女のように、都知事選についてもまずは検索する。テレビよりも検索。ましてや新聞は見ないし選挙公報も読まないだろう。

いま、有力3名の名前を検索してみてほしい。人によって異なると思うが、結構面白い傾向がある。

そうなると、鳥越俊太郎氏があまり姿を現さないことなんだけど、これは戦い方としては良くないのではないだろうか。青島幸雄の方法をイメージしているのだろうが、あれは20年以上前でまだネットは普及していない。

一方で、前回の参議院選でもそうだが、演説以上に「練り歩き」が重視されていて、これは当然SNSへの拡散を狙っている。これについては、東京選挙区の朝日健太郎を取材した日経ビジネスの記事も面白いが、東京の人口密度から言っても街頭戦はネットと組み合わさると相当効くと思う。

つまり、東京都民の情報接触は「リアル×ネット」の相乗効果になる。だから候補者の名前検索したら「演説が一分もしないで終わった」というニュースがいきなり出てくるのはまずいと思う。

いまも、皆は検索している。そして、検索と言う能動的な行為をした人は、投票にいく可能性も上がるんじゃないだろうか。

参議院選の鹿児島選挙区では、ニュース番組の出演者が当選した。ただ、先ほどのヤフーの調査によると、鹿児島県の検索指数は全都道府県で最少だ。つまり典型的なマス依存エリアなのである。

既に増田氏の「五郎丸ポーズ」とか、序盤にして相当味わい深い選挙戦になっているが、ネットと都民を舐めた候補は勝てないだろう。

それが、いまの東京なのだ。