演説よりも「練り歩き+拡散」になった選挙戦。
(2016年7月12日)

カテゴリ:世の中いろいろ

選挙の前になると、「首相動静」とかが慌ただしい。あちらこちらで演説をして、飛び回っている。「へえ、こんなとこで昼飯食べるんだ」とか、妙なところに目が行くこともあるけれど、今回の選挙で気になったのは「練り歩き」だ。

とにかく、毎日のように「応援演説をしては練り歩き」というパターンだ。

記事検索で「練り歩き」と調べれば、その数の多さが分かる。2014年総選挙の期間で検索したら1回だけだったので、今回は相当練り歩いているのだ。

警備の人は大変だと思うが、この練り歩きはソーシャルメディアを相当意識しているんじゃないかと思っている。

支持するかしないかはともかく、首相が地元商店街を歩いていればカメラ、というかスマートフォンや携帯電話を向ける。そして、ついつい発信する。実際twitterを「(訪れた)地名 首相」で検索すると、結構な数が出てくるのだ。

街頭演説でいくら集まっても、国政選挙はメディアで決まっていくという面はたしかにある。ただし、地方だと首相などの来訪自体がニュースになるし、一定の効果はあるはずだ。ただ、都市部だとそうはいかない。演説がすぐには効かない。だとすれば「撮って拡散したくなる」状態をつくるのは、たしかにうまいやり方だと思う。

ネット選挙解禁といいながら、あまり変化は感じないが、実はいまの選挙戦というのは「練り歩き拡散合戦」という、アナログ・デジタルの併せ技のようになっているんじゃないか。

もっとも、練り歩き自体は他の候補もやっている。ただし、近くにいるのが有名人であるほど、写真を撮りたくなるだろうから、首相が歩くのは相当効果があるのだろう。

しかし、投票日前日の記事にあったのだが、実は演説があまり受けないので早々に切り上げてるという面もあったらしい。たしかに20分話していても、あまり絵にはならない。

それよりも練り歩きの方が、効果的ということだろう。

でも、それってもう単なる認知競争で、政策の話は吹っ飛んでいることになる。そういう批判はとても真っ当だけど、それが選挙の現実だ。

首相は演説よりも練り歩き。この辺りを考えたスタッフは、相当にしたたかだと思う。