高齢層が推した「EU離脱」で、ドリアン・グレイを思い出す。
(2016年6月24日)

カテゴリ:世の中いろいろ
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いやぁ、英国がやってくれた。僕は世論調査よりもブックメーカーの予想を信用していたので、そういう意味でも驚いた。

SNSなどで見ているけれど、周囲の人間はこの結果をマイナスに受け止めているし、市場の動きがすべてを物語っている。「つながる世界」の一端が綻んだのだから、日付変更線に近い東京がもろに嵐をかぶることになった。

僕なんかよりももっとたくさんの外国人と仕事しているような人は「周りには誰一人離脱派はいない」と言っていた。どこかで聞いたな、と思ったけれど「離脱派」を「トランプ支持派」と読み替えれば思い当たる。

つまり、いま現役世代でビジネスの前線にいる人と、それ以外の人には大きな溝ができているのだろう。これは、世界中、というか先進国中心に起きている現象だと思う。

英国でも50代以上で離脱派が優勢だったようだが、つまり「自分は世界とつながってない」と思ってる人なんだと思う。

国境を超えた「グローバル」な社会への嫌悪や懐疑が、想像以上に広がっているということか。

本音を言うと、僕だってそれほど「グローバルなつながり」に振り回されたくはない。自分の幸せは、半径10メートルで実現できればいいんじゃないか?と思う。

どこかの無茶苦茶な金持ちに振り回されて為替や株を日々気にするような状態は、ふと考えてみればどこか滑稽じゃないか?懐疑論者が言いそうな言葉を、否定しきれない。

でも、しかし。

時代っていうのは、「抗えない潮流」のようなものじゃないか。ベルリンの壁が崩れて、その後もたくさんの血が流れる中で、新興国は豊かになり、人とモノとカネと情報の流れは加速した。

現場で働いている人は、その流れからは逃れられない。そこで遭難しないように踏ん張りながら、それでも半径10メートルの幸せを維持しようとしている。

その一方で、離脱派は時間的にも空間的も、近くしか見ていなかった。というよりも、真の状況から目を逸らしていたように思う。

なんか、ふと思い出したのはオスカー・ワイルドの「ドリアン・グレイの肖像」だ。

離脱派の多くを占めた中高年は、EU未加盟時代を知っている。そして、そのままの若き英国だと、自身を騙しているのではないだろうか。そして、いまの英国を肖像画に見立てて「こんなに歳を取って醜くなった」と納得している。

しかし、一番追い込まれているのはいったい誰なのか。数年後には、その結論が出るだろう。

その肖像画が自分自身だと気付いた時にはもう遅い。

そして、この問題は日本にとっても重要な示唆を与えてくれると思う。

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