オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展 国立新美術館
先週の金曜日、上野の若冲はTDRも真っ青の状態だったし、出品目録を確認したら見た作品が多かったし、でルノワール展に行った。
平日の17時前とはいえ、人が少なくゆったりしていて、さすがに驚く。かつては印象派と言えばそれだけでごった返した。きっと「バーンズ・コレクション展」あたりが頂点だったかと思うけれど、いま調べたら1994年だ。まだ80年代の余韻もあって、デパート美術館に慣れ親しんだ層が多かったんだろう。
というわけで、ゆったり見られたルノワール展だが、これが相当に豪勢なご馳走だった。
ポスターにも使われた「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」はもちろんだが、とにかくオルセーで見た記憶のある作品がワサワサとある。
入っていきなり「猫と少年」で、「読書する少女」が佇み、もうこの辺りで相当期待が高まる。
ウェブサイトの「見どころ」で紹介されている、「ピアノを弾く少女たち」や「浴女たち」などはまさに見どころなんだけれど、この展覧会はテーマ設定と構成が素晴らしい。
舞踏会を「現代の田園詩?」と言うタイトルで展開させて、コローの「ニンフたちのダンス」から、ダンスホールを描いたゴッホの作品まで一気に見せたりする。
展覧会では目玉の作品以外に「埋め草」のようなものが多いこともあるが、今回はそんなことが全くない。
デッサンを集めたコーナーでは、あらためて実力が感じられる。まだ「子どもたち」というコーナーでは、意外なほどに眼がクッキリと強く描かれていくことに驚く。
そういえば、ボッティチェリ展でも感じたけれど、近年の展覧会の構成は巧みになっている。きっと、学芸員の能力水準が高くなっているんだろうけど、こういうのってジワジワと強まってくるんだろうな。
期間も長いので、もう一度行ってもいいかなと思っている。「ああ、ルノワールか」と思って見逃したら後悔するんじゃないか。というくらいに、いい展覧会だ。
ボーッと見ているだけで、幸せになれる展覧会ってそんなにないよ。それにしても、今夏にオルセー行く人には、同情してしまうなぁ。