2016年05月アーカイブ

61VHYp26DAL夏が近づいてくるといつも思うのだけれど、この季節にあうクラシック音楽は少ないんじゃないだろうか。

欧州にも夏はある。ただ、クラシック音楽は内向的で抽象的なものが多いし、室内的な感じがする。ことにドイツ系は冬っぽい。それでも、海よりは山の方がまだいいだろうか。ただし、夏の開放的な気分に合う曲は、どうも思いつかない。

ロッシーニやメンデルスゾーンの序曲集や、ヴィヴァルディのギター協奏曲、あるいはアルベニスのピアノ、とかどんどんとマニアックになっていく。

そんな中で、夏の夕べにはまる作曲家だなあと思うのが、ディーリアスだ。

1862年生まれで、マーラーの2年後、シベリウスの3年前ということになる音楽史を振り返って、こうやって並べてみると、「なるほどなぁ」と思う気持ちと、「なんか意外だなぁ」と感じる気分が奇妙に同居することが多い。

たとえばベルリオーズの「幻想交響曲」の初演(1830年)が、ベートーヴェンの「第九」の6年後というのは意外な感じもする。一方でヘンデルとバッハの生年が同じ(1685年)のはわかりやすい。

ディーリアスのメロディは、優しく幻想的だ。ただし、すぐに口ずさめるようなわかりやすいメロディーとは言えない。ハーモニーに独特のうつろいがあって、何度も聴いてるうちに、ジンワリと沁みてくるような音楽だ。 >> ディーリアス~夏の夕暮れに聞くクラシック。の続きを読む