プリンスが他界した。1958年生まれということで、ふと思い当たって確かめたらマイケル・ジャクソンの生年と同じだった。
アーチストの年齢というか、そのキャリアはちょっと特異で、若くして有名になることも多いためピンと来ないこともある。
先週の土曜日に聴いたマウリツィオ・ポリーニは74歳だが、1942年生まれの有名なミュージシャンはポール・マッカートニーだ。カテゴリーは異なるが、それぞれの世界で「戦後を代表する」と言って間違いないだろうし、「最高の」という惹句がついてもおかしくはない。
ところが、この2人が同年齢ということも、またちょっと不思議な感じがする。
実は世に出たタイミングは2人とも近い。ビートルズのデビューは1962年だが、その2年前にポリーニは18歳でショパン国際ピアノコンクールに優勝している。ちなみに5年後の優勝者はアルゲリッチだ。
ビートルズが解散するまでの活動について今さら書くことはないが、この頃のポリーニは表立った活動をしていない。1968年にショパンのアルバムを出しているが、その後本格的な録音を始めるのは、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカからの3楽章」で世の度肝を抜き、ショパンの練習曲集で世評を確立した。
つまり、マッカートニーは20代にして頂点を極める一方、ポリーニは30を前にして本格的に世に出ることになる。 >> ポリーニとマッカートニーは同じ歳だったんだなぁ。の続きを読む
新しい潮流が生まれようとする「○○元年」という言葉が飛び交うが、この「元年」は結構曲者で少なくても一般的な暦の「1年間」を意味するとは限らないことはもう誰もが知っているかもしれない。
まあ、電子書籍についてはkindleのサービス開始が元年だったと思うが、ネットの「動画」については今年が元年となる可能性が高いように思う。
個人的には、視聴覚が1つの情報元に縛られるのは嫌いなので、ネットで見るのは30秒以内、長くて1分の猫動画くらいだ。自宅のテレビで映画などを見ることも少ない。
で、最近思ったんだけど、聴覚と視覚が分離しながら情報を認識している機会が増えているような気がするのだ。
家の外ではipd miniを使っているが音声は消していて、イヤホンやヘッドホンは結構前からなぜか耳が受け付けないので使っていない。すべて無音だ。車内広告の動画も無音なので、殆ど視覚情報だけになる。
スマートフォンを使っている人をみても、イヤホンを常時付けている人ばかりではない、というかつけてない人の方が多いように感じる。この調査によれば「持ち歩いてる」人と、そうでない人が半々だ。しかも10代では7割以上だが、20代から急減する。 >> スマホ動画で「目と耳とデカップリング」が進む。の続きを読む
自宅近くにコメダ珈琲がオープンして、2年ほどになるが相当賑わっている。出店も増加しているようだが「フルサービス」が受けたとか、まあいろんな分析がされている。
そんな中で、ふと思い出したのが10年以上前に会社の先輩と話していたことだ。僕が会社を辞める直前だから、2004年くらいだろう。
とても才覚のあるマーケティングのプロフェッショナルの方だが、「実際に街を歩く/売り場を見る」ことの重要性を指摘し続けていた。
ネット上では「売れないものは見えにくい」と僕が話したときにこんなことを言われた。
「知らない街に行ったり、都内でもちょっと時間つぶすときとかは、“流行ってなさそうな店”に行くんだよな。」
つまり個人経営の小さな喫茶店で、決してチェーン店にはいかないという。僕も同じように思っていた。その方が、面白みもあるし、意外においしいものがあったりもする。
ただ、その先輩の洞察は深かった。 >> コメダの隆盛を10年前に見抜いていた先輩。の続きを読む
まず、今回の地震でいろいろと心配している人も多いと思います。講義などは予定通りにおこないますが、週末にメディアに接している間に落ち着かない気持ちになった人も多いでしょう。
皆さんは東京近辺で暮らしているわけですが、遠くの地で起こっていることをテレビなどで見るだけでも、心に対する影響はあります。そうした中で、「応援しよう!」と動き出す人もいれば、どうしていいかわからない人もいるでしょう。
でも、こういう時の反応は人によって違うのが当然です。「なにもできない」といって、ことさらに落ち込むことはありません。
青山学院でも応援募金を始めています。無理のない範囲で、参加するのもいいでしょう。
さて、こうした時に学生として大切なことがあります。それは、自分の学んでいることを活かせないか?と考えることです。
この講義はマーケティングやメディアを論じますが、それぞれにおいて、災害で貢献できることもあるのです。「どうすれば、もっとスムーズに助けられるのか?」という姿勢で学ぶことで、将来社会に役立つことができると思いませんか? >> 【講義覚書】災害の時、学生がするべきことは。の続きを読む
府中市美術館の「ファンタスティック~江戸絵画の夢と空想」という展覧会は、最近の日本画展の中でも企画力において素晴らしかったと思う。まさに「ファンタスティック」だ。
展覧会と言えば、有名な作者や作品を目玉にすることが人気に直結する。一方で、テーマを適切に選んで、その世界観を組み立てていくのは難しい。
山種美術館で2年ほど前におこなった「Kawaii(かわいい)日本美術」などは印象的だったが、若冲の「樹花鳥獣図屏風」など大物もやってきた。
今回の展覧会は、そうした大物がいるわけでなはいが、中身は濃いし、発見がある。いい意味で、「勉強する」にも適しているし、楽しみもある。
前後期で全点入れ替えで、前期のチケット半券を持参すると半額になるというので、とっておいて再訪した。図録も買ったが、それも含めて自分にとっては珍しい。
日本絵画の様相をつかむのに重宝すると思ったし、読み物としての水準が高いと感じたのだ。それは館内の解説で感じた。作品の説明だけではなく、見るものに静かな「問い」を発しているのである。
図録の内容に沿って、展覧会を振り返ってみよう。 >> まさにファンタスティック!府中市美術館の企画力の続きを読む