「科学する」というのは、結構昔からある言い回しだが、いったいどんな本が他にあるのかと思ってamazonで検索してみた。一番最初に出てくるのは本書だが、次にあったのが『科学する麻雀』だった。
他にも、いろいろ出ているが共通点がある。それは「勘や経験あるいは言い伝え」に頼っている分野ということだ。
CMについては、科学的分析もおこなわれている。ただし、いま敢えてこのようなタイトルの本が出ることには大切な意味がある。なぜならCMを取り巻く科学は相当に進歩している一方で、多くの人はその最先端を知らないままにビジネスが進んでいるからだ。
この本に書かれている科学の対象は大きく2つある。
1つは「どのような人に到達しているか」という、メディアプランニングに結びつけるための数量的分析だ。
そして、もう1つは「どのように心を動かしたか」という、クリエイティブの課題、つまりメッセージ開発につなげるための合理的アプローチとなる。
メディアとメッセージ。広告の効果は、その相乗効果にある。多量に出稿しても、クリエイティブによって「残り方」が異なることは以前からわかっている。
一方で、どんな印象的なクリエイティブでも出稿量が少なければ、効果は限定的だ。
メディアとメッセージ。これは広告の両輪であり、広告代理店がビジネスとして成立する理由は、この2つの分野の専門的スキルを持つ人材を擁して、かつ組織としてデータを保有分析してきたことにある。 >> 『CMを科学する』テレビCMの新約聖書は想像以上のインパクト。の続きを読む