京都へ初めて行ったのは、小学校4年の時に祖父母に連れられてのことだった。祖父は東京生まれだが、なぜか大学は京都に学んでおり、卒業してすぐにまた戻ったらしい。農学部だったようだが、その後の仕事とは全く無縁であり経緯はわからない。明治生まれの人は家族にもわからない“謎”があったように思う。
いわゆる名所を回り、「いもぼう」を食べて、味が美味しいというよりは「京の商い」をうっすらと感じたような記憶がある。
その後、大学の頃から40歳ころまで、毎年京都には立ち寄っていた。わざわざ行くというより、出張などの後に時間を拵えていたことが多い。また、名古屋に勤務していた頃は、クルマでもひとっ走りという感じで、足を運んでいた。
最近は、間隔もあいて約1年ぶりだったが、とにかくごった返しているという話を聞くし、ニュースでもそんなトピックが目立つ。どこに行っても外国人が多くて、場合によってはマイナスに捉える人もいるようだ。
今回は、大徳寺、妙心寺、相国寺と回ったが、拍子抜けするほどに静かだった。大徳寺で、欧州からの若い女性グループが来ていて、なぜか楽しそうに「サンタ・ルチア」を歌っていたが、あれは何なのだろう。日本人が、サン・マルコ広場で「うさぎ追いし~」とか歌うようなもんなのだろうか。
日曜の朝に、城南宮へ行ってしだれ梅を楽しんだ。相当賑わっていたが、ここなどは一地方の観光地という感じだ。歩き方によっては、京の町は穏やかに過ごせるんだなと感じた。
考えてみれば、金閣や清水寺などは修学旅行も含めてどこも昔から混沌としていて、そういうところはますます大変なのだろう。
一方で、今回行った禅寺などは国内ガイドでも取り上げられていないところが多く、少し外れていて回りにくい。このような寺社の特別公開を狙ってゆっくり見て歩いていけば、まだまだいろいろな発見があるんだなと改めて感じた。ちなみに、今回思ったのだが、障壁画の特別公開でもギャラリースコープのような湛眼鏡を持っている人は見なかった。最近は日本美術の公開が多く、精細な細工などを見るのに使っている人も美術館では見ることも多い。
僕の持っているのは8倍なので競馬場と兼用という横着なのだが、寺院だとちょっと暗かった。妻が使っていた4倍くらいのものが、こういう旅にはいいと思う。
またレンタカーを借りて回ったのは初めてだったが、快適だった。京都をクルマで回るというのは大変そうだがまわり方次第だろう。駐車場も、寺に付属していてすぐに停められた。
なお、初めて乗ったデミオのディーゼルだが想像以上によかった。反応は軽快で、高速でも力強く、足回りも頼りになる。マツダの人気もよくわかる。
そんな感じで楽しめた京都行だが、拝観料を後で勘定したら、値上げ後のディズニーランドよりも、さらに上を行くことになってしまった。
比較するのもどうかと思うが、だったらディズニー行くという人の方が大多数だろう。狩野派の虎や猿を眺めるよりも、アメリカのネズミやクマと遊ぶ方が楽しいだろうからなぁ、
しかし、京都もまた、大人のテーマパークだ。シーズンごとに出し物を入れ替えて、コスチュームもあり、ちゃんと集客しているのだから、やっぱりしたたかなのである。
そして、野暮を言わずに「思い切り騙されて」楽しむのが吉、というところでも結構通底するものはあるのかもしれない。